« やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「“パーソナルコンピューター”の夜明け」 | トップページ | やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「移植の『い』」 »

2015年11月 6日 (金)

やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「シート式磁気録音機とドクター中松の誕生」




     /||ミ
    / ::::||
  /:::::::::::||____
  |:::::::::::::::||      || ガチャ
  |:::::::::::::::||      ||
  |:::::::::::::::||      ||
  |:::::::::::::::|| ̄ ̄\ ||
  |:::::::::::::::|| ノ  ヽ_\     呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ~ンだお。
  |:::::::::::::::||●) (●) \
  |:::::::::::::::|| (_人_)    |   で、今回の番外編は何の話なんだお。
  |:::::::::::::::||___   /
  |::::::::::::::(_____ノ´||
  |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
  |:::::::::::::::||/    ||
  |:::::::::::::::||      ||
  \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
    \ ::::||
     \||



                  / ̄ ̄\
                /  ヽ、__ .\       かなり唐突ではあるが、今回の話に大きく関係する人物の一人が、
               (⌒)(⌒ )   |
              (__人___)     |       ドクター中松こと中松義郎氏だ。東京都知事選に何度も出馬して、
                    l`⌒ ´    |
               |         |       ユニークな言動を披露したりしているので、その名前は、
                  | 、   _,.ーへ
            _. -: ::::ヽ__「     v、___   多くの人がおそらく一度くらいは聞いたことがあるだろ。
       __,. <::::::::::::::∧:::二〈 、      ∨:::::\
     /:::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::ヽ_〉、    -ー、:::::∧
     /::::::::::::::ト、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー/ ::::::::>:、::ハ
    〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::::::::v::、
    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Λ::::::::::::::::::::::::ヽ|



       ____
     /__.))ノヽ
     .|ミ.l _  ._ i.)     「フロッピーディスクはわしが発明した」って言ってる人だお。
    (^'ミ/.´・ .〈・ リ
    .しi   r、_) |
      |  `ニニ' /
     ノ `ー―i´



                / ̄ ̄\
              _ノ  ヽ、_   \      中松氏がフロッピーディスクを発明したと主張していることについては、
              (●)(● )    |
                (__人___)    |      「と学会」の著書として1995年に発行された「トンデモ本の世界」でも
               |        |
                  |        .|       取り上げられているだろ。この本自体がかなり人気になったことに加え、
               ヽ 、     ,イ
               /ヽ,ー-   ト、      中松氏の主張を過去の著書などと比較してシニカルに検証している
        _, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__
 __ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:....  こともあり、比較的知られている記事ではないかと思われる。
 \ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
   } }/ )  V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
  /:ゝ/ ./ __  V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
  }:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \



        ____
      /      \
     / ─    ─ \     んーと確か、昭和20年代にフロッピーディスクを発明したっていう話だけど、
   /   (●)  (●)  \
   |      (__人__)     |    実際には「ナカビゾン」っていう名前のものだったとか、そのナカビゾンも
    \    ` ⌒´    ,/
    /⌒ヽ   ー‐    ィヽ     フロッピーディスクとはだいぶかけ離れてるとか、そういう記事だったかお。
   /      ,⊆ニ_ヽ、  |
  /    / r─--⊃、  |
  | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |



                 / ̄ ̄\
            rヽ  / ノ  \ \     うむ。またこの本や、これ以前からのと学会の活動の影響もあってか、
            i !  |  (●)(●) |
         r;r‐r/ |   |  (__人__)  |     中松氏の著書や主張の検証は他にもいろいろ行われている。
         〈_L (`ヽ .}  |   ` ⌒´  ノ
        l` ( ``/ .  |        }      インターネットでもその一部を見ることができるだろ。
        ヽ   l  .  ヽ       }
         |,.   l   /⌒   ー‐  ィ ヽ



         ____
       /_ノ   ヽ_\
     /( ●)( ●)\     ウィキペディアにもあれこれ書いてあるみたいだお。
    /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
    |     (  (      |
    \     `ー'      /



                / ̄ ̄\
               _ノ  ヽ、  \         ただ、「ナカビゾン」については、どういうものかの説明が意外に
             ( ●)( ●)   |
             (__人__)      | ../}      まちまちだろ。そこでその特許の実態や、当時の新聞や雑誌での
       _       ヽ`⌒ ´     | / /    __
    (^ヽ{ ヽ      {        ./ /  . / .ノ  取り上げられかたを、中の人が調べてみたところ、かなり複雑で
  ( ̄ ヽ ヽ i      ヽ      / 厶- ´ /
. (二 ヽ i i |,r‐i    ノ.   ヽ /     /      興味深い事情を抱えていることがわかった。そしてこれらは、
   ヽ   /  ノ  /    r一'´ ー 、   ̄ ̄ ̄)
    i   {   イ―イ /   .`ー―. 、__ .〈 ̄ ̄    「シート式磁気録音機」と呼ばれる機器の盛衰と大きく関わっている。
    ヽ. `ー '/   /           /\ \
       `ー '  ̄ ̄!           |  ヽノ



         ____
       /⌒  ⌒\
     /( >)  (<)\     それで、今回はそこらへんの話をするってことかお。
    /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
    |    /| | | | |     |   フロッピーディスクの話かと思ったら、ずいぶんあさってのほうに行った感じだお。
    \  (、`ー―'´,    /
         ̄ ̄ ̄



                   / ̄ ̄ \ -、_
                _,ノ ヽ、__   / / ,〉、     ま、そう言われるのも仕方のないところではあるが、
               (=)(= )/ ´/ /)
                   (__人_) {    , ' ´,/      ともかく始めるとするだろ。
                '、`⌒ ´  V __, <´
                 |     〈´/::::Λ
                 |       ヤ::::::::::::::Λ
                `ュ`ー─ー V::::::::::::::Λ
                /ム _ , -./V::::::::::::::Λ、
              _,. -/:/:::ハ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vヘ
          //./.:::/:::l y .::::::/::::i::::::::::::::::::.∨}
          j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::i::::::::::::::::::::レ;
         i :::r :〈 ::::i::::::::レ .::::::::::::::::::::〉、:::::::::::::::::ノ



────────────────────────────────────────



                / ̄ ̄\
              / ─  ─\     やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
              |   (●)(●)|
         ____. .|   (__人__) |             番外編
       /      \   ` ⌒´  ノ
      /  ─    ─\       .}        「シート式磁気録音機と
    /    (●)  (●) \     }
    |       (__人__)    |    ノ.ヽ        ドクター中松の誕生」
    /     ∩ノ ⊃  /∩ノ ⊃|  |
    (  \ / _ノ |  |/ _ノ |  |
    .\ “  /__|  | /__|  |
      \ /___ //___ /



────────────────────────────────────────

※本稿で説明している特許関連の法律や制度は、現在のものとは異なる場合があります。



       / ̄ ̄\
     / ノ  ヽ /\'ー、       ,, ..,、   さてまず、「シート式磁気録音機」の元祖と言えるのが「シンクロリーダー」だ。
     |  ( ●)( /  .\` 、   . // /
.     |  (__人/     \ヽ、,.// ../    シンクロリーダーは、日本での磁気テープの開発で先駆的な役割を果たした
      |    ` /       ``77   /
.      ヽ   /          / /   /     東京工業大学の星野教授が、独自の着想から研究を進め、昭和32年、
       ヽ.. /      fヽ、/ / , -,./
       /./     r-、 ヽ ∨,ノ /       つまり1957年に試作機を発表したものだろ。紙に書いてある内容を読みつつ
       |. \   〈\.\,〉 `,  f
        | . \  (ヽ ヽ `..   |       それと関連した音声を再生することから、教授は「聴読機」とも呼んでいた。
        |    .\ \      ノ

Syncro_reader_prototype_102





               ____
              / ⌒  ⌒  \
            ./( ―) ( ●)  \     音とシンクロして読む機械ってわけだお。
            /::⌒(_人_)⌒:::::  |
            |    ー       .|
            \          /



          / ̄ ̄\
        /  _ノ   \        シンクロリーダーはこの着想を実現するために、紙の裏面に磁性体を
     |  ( ●)( ●)
        |      (__人__)        塗布または接着し、紙を一切動かさずに再生ヘッドが磁性面を走査する
       |     `⌒ ´l
      |         }        仕組みになっている。そして、1枚の紙に対して音声をできるだけ無駄なく記録し、
      ヽ        }
       ゝ     丿        これを途切れずに再生するため、なかなか面白い手法をとっただろ。
  ____( ̄ ̄    / ̄ ̄/´ ̄/_
i⌒ゝ、  ヽ ヽ.   /    /  ⊂)  i⌒ゝ、
i;;;;;;;;;;|__ L人   ̄ ̄`´ ̄ ノ__i;;;;;;;;;;|



                ____
              /⌒  ⌒\
            /( ●)  (●)\    具体的には、どうしたんだお。
           /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
           |     |r┬-|     |
           \____`ー'´____/
              (( ( つ ヽ、
                〉 とノ ) ))
               (__ノ^(_)



       / ̄ ̄\
       _ノ  ヽ、  \   ,.:┐     機械に装備された円盤の外周部分に3個のヘッドが等間隔に配置され、
     .( ●)( ●)  ..| / |
     (__人__)     .|./   /      水平よりやや角度をつけて置かれた紙の下を、この円盤が回転しながら
      i⌒ ´ .r-、  |/  /
      {     ヽ, ',. .,/ :/',       奥から手前に移動する。紙の磁性面の実際の記録エリアは、3個のヘッドを
      .ヽ   .|  l_/_, -‐、',
       .ヽ . |   / , --'i|       結んだ正三角形の一辺と同じ幅になっていて、これにより、1個のヘッドが
       /   {  V , --ヘ
       |   ヽ  L| r= |      記録エリアを外れると同時に、次のヘッドが記録エリアに入るだろ。



              ====丶
            /          ヾ
           ./ ⌒   ⌒   》 ヽ     トリプルヘッドってわけだお。
          / (●)  (● )  }}. ∩|
          | ⌒(__人__)⌒  》 ∪|     なんだかどっかの怪獣みたいな響きだお。
          \ミ三| ̄|三三彡  /
          ノ卜 _兀   _  イヽ



       / ̄ ̄\
     / _ノ  ヽ、\     こうして、録音の際には円弧状のトラックが奥から手前に
     |  (●) (●).|
.     |  (__(⌒.)  |     次々と形成される。再生する場合にもこれと同様に、3個のヘッドが
      |   `/ /  (⌒)
.      ヽ  / / ./ /    円弧状のトラックを同じ方向に次々となぞっていくというわけだろ。
       ヽ/ // /
       /    こ二二⌒)  なお、ヘッドと磁性面の密着度を上げるため、記録紙は
       |     \
        |    |ヽ .\    丈夫で平らな透明板の蓋の下に敷くという形になっていた。
              (.__)



                           ,ヘ
               ____      / /
              /\  /\   / /
            /( ⌒)  (⌒)\/  /    紙を横に置いたら、
           / :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /
           |     |r┬-|       |      [))))))))] みたいな形のトラックになってるわけかお。
           \     ` ー'´     /
           /          \
          /             \
         /  /\           ヽ
         | ./   \          ノ
         U      ヽ        ノ



        / ̄ ̄\
      /   _ノ  \            このシンクロリーダーが発表されたとき、後にカセットテープとして一般化する、
      |   ( ●)(●)
      .|    (__人__)            オランダのフィリップスの「コンパクトカセット」はまだ登場していなかっただろ。
       |     ` ⌒´ノ
      . |         }     __    持ち運びにも何かと手間のかかるオープンリールの磁気テープに対し、
       ヽ        / ̄ ̄⌒/⌒   /
     (⌒ ヽ     /     /     /   シンクロリーダーでは、シンクロシートと名づけられた記録紙は、本や雑誌に
.     \  \ ,(つ     /   ⊂)
      | \   y(つ__./,__⊆)    綴じ込むこともできれば、何枚かを折って郵送しても問題ないとされた。
      |  ヽ_ノ   |



               / ̄ ̄ ̄\
               /        \     文字通り、「声の出る手紙」かお。
            /   ─   ─  ヽ
             |   (●)  (●)  |
            \   (__人__) __,/
            /   ` ⌒´   \
          _/((┃))______i | キュッキュッ
..        / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
       /  /_________ヽ..  \
       . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



          (ヽ三/) ))
           ( i)))
       / ̄ ̄\ \
     /   _ノ  \ )     星野教授がすでにさまざまなマスコミに登場する名士だったこともあり、
     |    ( >)(<)
.     |  ///(__人__)      科学雑誌、無線技術誌、教育研究誌などにも教授が記事を寄稿。
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }      新聞でも、「声のメモ用紙」としての利用はもちろんのこと、
.      ヽ        }
       ヽ     ノ       「声の出る本」「音の出る新聞」の実現も遠くないとも紹介され、
    ⊂ヽ γ    く
    i !l ノ ノ    |        ちょっとしたブームを巻き起こしただろ。
    ⊂cノ´|     |



               ___
             / ⌒  ⌒\
            / (⌒)  (⌒) \     そういわれると確かに、なかなか夢のある感じがするお。
          / ///(__人__)/// \
           |     `Y⌒y'´     |    見方によっちゃ、原始的なマルチメディアって言えなくもなさそうだお。
            \     ゙ー ′   ,/
            /ヽ   ー‐   ィ⌒ヽ
            rー'ゝ       〆ヽ .)
          ノヾ ,>      ヾ_ノ,ヽ}
          ヽ ヽ|        ヽ_ノ



        / ̄ ̄\
      /   _ノ  ヽ     このシンクロリーダーにほれ込んだのが、星野氏の趣味のカメラを通じて
       |   ( ⌒)(⌒)
      |    (__人__)     親交の深かった、今のキヤノン、このときのキヤノンカメラの御手洗社長だ。
       |     ` ⌒´ノ
        ン       }     星野教授をはじめ東京工業大学と深いつながりを持つ、東京電気化学工業、
     /⌒ヽ、    _ノ
    /   ノ \__ィ ´       今のTDKとの3者共同で製品化を進めることになった。この件の正式発表前から、
   /  /    '|
   (  y      |        キヤノンの株価が大きく上がるなどといった動きさえあったほどだろ。
   \ \     |



                ____
               /      \
             /  ⌒  ⌒  \       いわゆる青田買いだお。
           /   (⌒) (⌒)   \l⌒l
            |      (__人__)     |`''|
           \     ` ⌒´    _/ /
                          /



        / ̄ ̄\
.       _ノ,、 \_   \             ところが昭和33年、つまり1958年2月に、このシンクロリーダーについて
      ( ●)( ●)    |
     (__人__)     |             「自分の持つ特許に完全に抵触している」と主張する人物が現れた。
     (`⌒ ´     |
      {        |              それこそが、このとき第一物産原子力室に勤務していた中松義郎氏だろ。
      {         /
       ヾ      /               なお第一物産は、戦後の財閥解体で誕生した旧三井物産系の商社で、
       ソgヘ二ニ=7⌒ ̄"⌒ ̄〆"⌒ニつ
      ∧ii/ oィ/"  〃  (乙ノ≠^ソノ   この後1959年、「大合同」と呼ばれる合併によって現在の三井物産になる。
     / .|//= ゝー─~゙─‐゙~'´
      l  |。     `~/
     / |。      /
    /ソ |。       (
    / リ∠\____ニゝ



                 ___
               /⌒  ⌒\
               (● )  (● ) \     まさに「異議あり!」ってわけかお。
.      (ニ~`ヽ、 /:::⌒(__人__)⌒::::: \
        (((_⊂>ヽ|    |r┬-|      |
.           \ \   `ー'´      /
.            ゝ-|          ヽ
              ヽ  \



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \        中松氏はそもそもは自ら進んで現れたわけではなく、このころに第一物産の
     |    ( ●)(●)
.     |     (__人__)       株価が上がった原因として、過去にも出ていた大合同の話が再燃したことに加え、
      |     ` ⌒´ノ
.    l^l^ln        }       証券関係者の間で「第一物産がシンクロリーダーの権利を得た」などといった
.    ヽ   L       }
      ゝ  ノ    ノ        噂が出たと取りざたされ、そこから脚光を浴びたという形になっているだろ。
    /   /     \
   /   /        \      この流れについてはまた後で触れるが、先に中松氏の特許を見ていくことにしよう。
.  /    /        -一'''''''ー-、.
 人__ノ       (⌒_(⌒)⌒)⌒))



                ____
              /_ノ ' ヽ_\
            /(≡)   (≡)\     つったって、その特許がナカビゾンってのは見え見えだお。
           /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
           |     |r┬-|     |
           \      `ー'´    /



       / ̄ ̄\
.     ./   _ノ  ヽ      そのとおりだ。ただ、このころの記事では「ナカビソーン」「ナカビ・ソーン」
      |    ( ●) (●)
      |      (__人__)  ∫   「ナカ・ビソーン」「ナカビゾーン」などさまざまな表記が見られる。ここでは、
      |     `⌒´ノ ∬
.     ヽ         } | ̄|    1952年に特許となったものについては、「ナカビソーン」と呼ぶことにするだろ。
       ヽ     ノ |_|)
  ____/      イー┘ |   なお登録された特許そのものの名称は、「重色レコード」と
  | |  /  /     ___/
  | |  /  /      |       「積紙式完全自動連奏蓄音器」というものになっている。
  | | (    ̄ ̄ ̄⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|



                ____
              /      \
             /⌒  ⌒    \     なかなかいかつい名前だお。
           /( ・ ) ( ・ )    \
            |   (__          |
           \   _l        /
           /  ー        \



        / ̄ ̄\
      /   ⌒ ⌒     幸いにして2015年の現在では、特許番号や出願番号などがわかれば、
.      |    ( ⌒) (⌒)
.     |    (___人__)    インターネット上の「特許情報プラットフォーム」で、その明細を示す
      |     ` ⌒´ノ
.      |        |     公告特許広報を見ることができるだろ。今回は、左上の「特許・実用新案」から
       人、       |
   _,イ ト、ヽ 、 __ ,_ ノ     「特許・実用新案番号照会」を選び、「種別」を「特許出願番号」として、
─-´   l  ヽ,\__、_ノ7
     :i   ハヘ、;;ヽト、     「S26-1266 S25-12151」と入れればいい。
      :i   ハ 〉:.;〈ヽ \、_
\      :L__  v;;;;ヘ ' ,<. ヽ
 ヽ: .     く   '';;;;;ヘ l `l `-、



                ____
              /⌒  ⌒\ ホジホジ
            /( ●)  (●)\      うーん。古い字が多くて全体的に読みづらいし、「積紙式
           /::::::⌒(__人__)⌒:::::\
           |    mj |ー'´      |    完全自動連奏蓄音器」のほうは、説明が長くてちょっとわかりにくいお。
           \  〈__ノ      /
             ノ  ノ



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     確かにな。そこで、両方の特許広報の「特許請求の範囲」の全文と、
     |    ( ●)(●)
.     |     (__人__)    そのほかの部分で重要と考えられる部分を以下に抜き出してみただろ。
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }     なお、いわゆる旧字については適宜新字に変更してある。
.      ヽ        }
       ヽ     ノ
       /::::::..ヘヤ:>.
        |::::::::::...:.ソ.:|
        |:::::::::::.::::::::|



●特許196898号「重色レコード」 1951年特許出願(特願S26-1266)
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃特許請求の  ┃紙又は適宜薄片の表面に相異なる適宜のフイルターにて分別せられる所の .┃
┃範囲        ┃数色にて面積型録音法により決定せられた線條を、ピツクアツプの      ┃
┃            ┃運動経路、順序に従つて、連続して表示し、敍上相異なる数色の         ┃
┃            ┃フイルターを用いピツクアツプを線條の上にトレースせしめて原音を       ┃
┃            ┃順次連続して再生せしめる事を特徴とする重色レコード。                 ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃発明の性質及┃本発明は紙又は適宜薄片の表面に余色をなせる適宜の数色で          .┃
┃目的の要領  ┃面積型録音法により決定せられた線條をコの字型又はコの字類似形又は  .┃
┃            ┃ジグザグ型の如き折り返しにより連続した多数の平行線を以て表示し、   ..┃
┃            ┃敍上相異なる数色のフイルターを用い再生装置を線上にトレースせしめて  ┃
┃            ┃原音を順次連続して再生させる事を特徴とする蓄音機用レコードに係り、  ..┃
┃            ┃その目的とする所は、敍上の如き方法により紙等を利用して非常に      .┃
┃            ┃経済的にして多量生産に適し、携帯格納至便にして破損率少く操作の    .┃
┃            ┃簡単なる持続時間長き自働連奏蓄音機用レコードを得ようとするに在り。   ┃
┃            ┃(以下略)                                            ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃発明の詳細  ┃(略)以上述べたものは実施の一例であつて、その蓄音機のトレース順序、  .┃
┃なる説明   .┃径路、等に従つて録音線條の順序、径路を定めるべきであり、又、      .┃
┃            ┃敍上の如く四角形ではなく、従来のフイルム型、円板型にも此の重色式を   .┃
┃            ┃応用し得るし、又、印刷によらず天然色発色式とするも可であつて、      .┃
┃            ┃此等はいずれも本発明内に属するものである。                   ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛



●特許196899号「積紙式完全自動連奏蓄音器」 1950年特許出願(特願S25-12151)
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃特許請求の  ┃本文に詳記する如く所要の幅に左右に移動し且つ進行する如く録音せられた┃
┃範囲        ┃レコードを重積しそのピツクアツプを前記所要幅に往復動させると同時に   . ┃
┃            ┃レコード移動装置をピツクアツプの動きと連動せしめてピツクアツプが      .┃
┃            ┃レコードの録音帯上をトレースする如くなさしめガイドによりレコードの一端を...┃
┃            ┃進行に伴い返裏させピツクアツプがレコード表面の録音帯終端に来た時に ..┃
┃            ┃レコード裏面録音帯の始端が連続してピツクアツプの直下に来るようにし   . ┃
┃            ┃前記と同様に裏面録音帯を再生させピツクアツプがその録音帯の        .┃
┃            ┃最終端に来た時に次のレコード録音帯の始端が連続してピツクアツプの   ┃
┃            ┃直下に来る如くレコード搬送装置を関連させる事を特徴とする積紙式      ┃
┃            ┃完全自動連奏蓄音器                                  ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃発明の性質及┃本発明はフイルター変換装置を設けたるピツクアツプを所要の速度で    ..┃
┃目的の要領  ┃所要の幅に首振り運動させこれに連動させて所要の時間的間隔を         ┃
┃            ┃保持させつつ適当な装置によりレコード庫より搬送せるレコードを        .┃
┃            ┃所要の時間的間隔を保持させつゝ摺動させ(中略)る事を特徴とする     .┃
┃            ┃積紙式完全自動連奏蓄音器であつて、その目的とする所は連続する      ┃
┃            ┃平行線で重色録音された印刷紙等をレコードとし、これを積み重ねて非常に...┃
┃            ┃長時間連奏にして且つレコード変換時に於て断音なき完全連奏であると    .┃
┃            ┃同時に完全なる自動動作を行う故操作が極度に容易であり、又印刷紙を   ┃
┃            ┃レコードとする故経済的なる自動連奏蓄音機を得ようとするものである。    .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃発明の詳細  ┃(略)次に第5第6図に示す如くピツクアツプ1は光源及光電管を蔵し、     .┃
┃なる説明   .┃これにスリツト27及赤フイルター25青フイルター26フイルター舌24が        .┃
┃            ┃設けられている。フイルターは舌24を押すことにより左右にスライドし、     ┃
┃            ┃スリツトには赤又は青のフイルターが現れる。此の変色フイルターの作用は....┃
┃            ┃重色レコードの各色分離再生にある。即ち例えば赤青二色を重ねて      ┃
┃            ┃面積型に印刷したレコードを最初赤色録音部を再生せんとせばスリツト27に...┃
┃            ┃青色フイルター26が現れる如くす。しかる時はレコードの青色部は打消され.....┃
┃            ┃赤色部のみ残るから赤色部が再生せられる。次にフイルターを変換せば   . ┃
┃            ┃青色部の再生が出来る。即ちレコード一面を二面分として活用することが .....┃
┃            ┃出来る。(中略)以上は実施の一例として記述するものである。本発明は   ┃
┃            ┃このようにして印刷紙をレコードとして用いることを得しめる経済的発明と   .┃
┃            ┃同時に長時間の完全連奏をなす蓄音機の発明である。                  ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛



                    (ヽ三/) ))
                __  ( i)))
               /⌒  ⌒\ \
             /( ●)  (●)\ )     おー。だいぶすっきりしたけど、そういや、「余色」とか「敍上」とかいう言葉は
           ./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\
           |    (⌒)|r┬-|     |     あんまり聞かない気がするお。どういう意味なんだお。
           ,┌、-、!.~〈`ー´/    _/
           | | | |  __ヽ、    /
           レレ'、ノ‐´   ̄〉  |
           `ー---‐一' ̄




       (⊃ ̄ ̄\
     (⊃   _ノ  \     余色とは、辞書にも出ているが「補色」と同じ意味だ。
    (⊃   ( ●)(●)
     |     (__人__)     つまり赤とシアン、緑とマゼンタのような関係というわけだ。
     |     ` ⌒´ノ
       |         } \    また、敍上は「叙上」と同じで「上述の」という意味だな。
     /ヽ       }  \
   /   ヽ、____ノ     )
  /        .   | _/
 |         / ̄ ̄(_)
  \   \ /| JJJ (
   \  /   /⊂_)



               ____
             /^  ⌒  \
            (●)  (● )   \     なーるほど、それならちゃんと意味が通るお。
           /⌒(__人_)⌒::::::  \
           |   |-┬r|       |
           \  `'ー`        /



          / ̄ ̄ ̄ヽ
       /       ヽ        これらの特許の内容を、ごくおおざっぱに説明すると、
        |   _,ノ ヽ、_  |
        |  (●)(●) |        まず、長方形の紙にふたつの色で面積型録音法、つまり音が大きなところは
       |  (__人__)  |
         ヽ.        ノ        線が太くなるという方法で音を記録する。なぜ2色使うのかというと、
          .>      く
      /        ヽ カリカリ   1枚の紙の片面を、行きと帰りの1往復分の記録に使うためだろ。
    _/((┃))____i |
 .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄(,_,ノ \
 /  /_______ヽ..  \
  . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



               ____
              /― ― \
            /(●)  (●) \     行きと帰りで使う色を変えれば、読み間違うことはないって寸法かお。
           /   (__人__)     \
            |    ` ⌒´      |
            \           /
             /          \



     // ̄ ̄\
   // /  _ノ  \        そしてこの線を、横長のコの字型の線やジグザグの線などの連続として
   |/ ̄\ ( ⌒)(⌒)
.   |$ONY.|  (__人__)        記録しておき、読み出す際は、横方向へのピックアップの往復運動と、
    \_/ ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }         縦方向への紙の移動を組み合わせて線をたどっていく。紙が一往復したら、
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ          自動的に裏返す装置が作動する。裏面も読み終わったら、自動的に
   /   /   \
  /   /      \    ヾヾ  次の紙を引き込む。こうして長時間の連続再生ができるという理屈だろ。
. /    /     |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ        / ̄ ̄ ̄ ̄



                _. -─‐-
                /      ─ \
              /  /   (● ) \          これはこれで、なかなか面白そうな発明だけど、
             /   ( ●)  、_)   ⊂ヾ、
           |      (__ノ         |E ) コリコリ  シンクロリーダーがこの特許のどのあたりに引っかかるのか、
           ヽ            _ノゝ ヽ
            >      ̄     `  ノ      よくわからんお。



       ., ──‐、
      /     \
      |     _ノ  ヽ         実際、日経新聞でこの動きを最初に報じた、1958年2月27日付紙面では、
     |     ( ●) (●)
     |       (__人__) , -―ーっ   「重色レコード」が色を音に変えるのに対し、シンクロシートは磁気録音で
      |     ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄
     . ン         }  |. |      あることや、「積紙式完全自動連奏蓄音機」では記録紙が動くこと、
    /⌒        ノ  .|,  |
   /   ノ   _ィ ´ー‐ィ'  |      積紙式ではピックアップの運動はコの字型だが、シンクロリーダーは円弧を
  ../   /    r_____ ノ
  /   /      |i             描くといった違いがある旨のキヤノンカメラ側の指摘が報じられているだろ。



              ____
            r、/  ⌒ ⌒ \
            |.l1 (● ) (● )ヽ     中松さんは、どう返事したんだお。
           .|^ )  (__人__)  |
          .ノ ソ、_ ヽノ _/ ̄`!
          /  イ         イ7 _/
          {__/\        ヽ {



          / ̄ ̄\
         /   _ノ  \     この記事では、中松氏は不在とのことで、直接のコメントを出していないが、
      /〔|    ( ●)(●)
      〔ノ^ゝ    (__人__)    次の日、つまり2月28日付の紙面で、以下のように述べたことが報じられただろ。
      ノ ノ^,-    ` ⌒´
     /´ ´ ' , ^ヽ      }
     /     ノ'"\.  ⌒
   人    ノ \/,_ __ノ
   /:::::\_/l:::::::\ー-.,ノ、゙,
  ,/::::::::::ノ::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_



┌────────────────────────────────┐
│第一の「重色レコード」は色を音にかえるものという点は、            │
│わたくしの特許請求範囲をみてもらえばわかる通り磁気でも光学でも、     . │
│また機械方式でもみな含まれる。第二の「積紙式完全自動連奏蓄音機」は  .│
│紙が動くのに対し「シンクロ・リーダー」は紙は固定しているという点だが、   . │
│特許請求範囲の内容からみて紙が動くとか動かないとかは問題でない。   │
│第三の積紙式はピックアップがコの字型に動くのに対しシンクロ・リーダーは...│
│円弧状に動くという点も特許請求の範囲は“連続した録音線状”となって     │
│いるのだからコの字型でも円弧でも関係ない。(以下略)                │
│                            (日本経済新聞1958年2月28日付紙面)│
└────────────────────────────────┘



                ____
              /      \
             /_、 ,,/"  \     お互いの言い分が真っ向から対立してる感じだお。
           / (●) ゙(●) U \
           |    (__人__)      |
           \   ⊂ ヽ∩     <
             |  |  '、_ \ /  )
             |  |__\  “  /
             \ ___\_/



       / ̄ ̄\
     / ⌒  ⌒ \     中松氏の主張では、特許広報でも見られる明細書の中で、特許請求範囲の
     |  ( ●)(●) |
.     |   (__人__)  |    記載内容をかなり重要視していると言えるだろ。しかしこのころ出版されていた
      |   \_)  |
.      |         }     特許に関する書籍を見ると、例えば以下のように説明されている。
.      ヽ        }
       ヽ     ノ
       /    く



┌────────────────────────────────┐
│なお発明を比較するにあたっては、その要旨を比較することが必要である。....│
│そして発明の要旨は特許請求範囲の記載によってこれを認定せねば     .│
│ならないことはもちろんであるが、その記載が明確でないときは、        │
│明細書全体の記載を参照してこれを明確にせねばならない。             │
│                     (萼優美「実例本位特許・商標の法律知識」p.39)│
└────────────────────────────────┘



               ___
             /   ヽ、_ \
            /(● ) (● ) \     つーことは、その、特許請求範囲の記載に細かい方式が
          /:::⌒(__人__)⌒::::: \
          |  l^l^lnー'´       |    書かれてないからって、あらゆる方式が特許に含まれるとするのは、
          \ヽ   L        /
             ゝ  ノ            そもそも無理があるわけかお。
           /   /



       / ̄ ̄ \
     /  __,ノ `⌒     そういうことになるな。そのあたりを踏まえて、ふたつの特許について、
     |   ( ●) (●)
.      |    (___人__)     中松氏とキヤノンカメラの対立点に関連しそうなポイントをまとめると、
       |.     ` ⌒´ノ
      |        |      以下のようになるだろ。
       iヽ       |
      }:::.`> ー-´-くヽ- 、___、
     _/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 7¨:.ヽ
  __/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::\
<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧



●「重色レコード」の特許のポイント
┌────────────────────────────────┐
│1)「特許請求の範囲」「発明の性質及目的の要領」「発明の詳細なる      .│
│ 説明」のいずれも、色を使って録音することが説明されている。           │
│2)「発明の性質及目的の要領」に、録音はコの字型などのジグザグに       │
│ 折り返して連続した線で表示すると説明されている。                   │
└────────────────────────────────┘

●「積紙式完全自動連奏蓄音器」の特許のポイント
┌────────────────────────────────┐
│3)再生方式について「発明の性質及目的の要領」に「フイルター変換装置を .│
│ 設けたるピツクアツプ」と記載があり、「発明の詳細なる説明」の項目に、  │
│ 実施例としてピックアップには光源と赤青2色を切り替え可能な         │
│ フィルターを装備すると説明されている。                        │
│4)「特許請求の範囲」と「発明の性質及目的の要領」の項目の説明を      .│
│ あわせると、ピックアップを首振り往復運動させ、これと記録紙の         .│
│ 移動装置を連動させて、コの字型などの連続して往復するように       .│
│ 描かれた線をトレースするという内容になっている。                    │
└────────────────────────────────┘



                 /7
                   //
               //
         __    //
.      /ノ ヽ\ .//
.     / (●)(●〉/     1)と3)からわかるように、これらの明細書では、色を使って音を記録し、
    l    (__人_,//l
.    |    `⌒// ノ      あるいは読み出すと説明されている。その一方で、どうやって色を磁気的に
     l       // ./
.     ヽ r-‐''7/)/       記録するのか、また磁気的に読み出すのかは説明されていない。したがって、
      / と'_{'´ヽ
      /  _.、__〉 ト,       磁気的な記録再生がこれらの特許に含まれると考えるのは難しいだろ。
      {  、__}  |.i
      ヽ _,.フ  .|.|



                ___
              /(●)^ ヽ\
             /  (_  (●) \     色を磁気に変えるとなると、
            /    Y ヾ__)⌒:::  ヾ
            i     ヾ⌒ノ     ノ    それだけでひとつ発明になっちゃいそうな感じだお。
            \   ー     /



       / ̄ ̄\
      /   _ノ  \     次に、4)にもあるとおり、中松氏がピックアップの首振り運動と
      |    ( ●)(●)
      |     (__人__)     記録紙の移動装置が連動することを特許請求の範囲に含め、また特徴として
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }     説明していることは疑問の余地がない。ところがシンクロリーダーは、記録紙の
.      ヽ        }
       ヽ (\    ノ、     表面に文字や図形の情報を、裏面に音声情報を記録することが特徴であり、
       /  \\く} j
       |  〈 ̄ ゙ヽ ヽ     表面を人の目で読む以上、これを動かさないことこそが重要な点といえるだろ。
       |  .に    }
       |   (___,ノ



         ____   _____
        /      \/        \       ‐-、
  、-‐   /⌒   ⌒        ⌒   ⌒\   ___,ノ-、   紙が縦にでも横にでも行ったり来たりするようなら、
、- !、,__/(● ) (● )  彡   ( ●) ( ●)ヽ    ___,ノ
!、,___ l  (__人__)           (__人__)   |          そこに書いてあることをじっくり読むわけにはいかないお。
     \ `⌒ ´     彡      ⌒´   /
      /                       ヽ



       / ̄ ̄\
     /     _ノ \     一方、2)の内容を考えると、たとえば計測器などでみられるような「円弧状に
     |      ( ●))
.     |       (__ノ_)    ジグザグに往復する連続線」による記録については、中松氏の特許から
      |       `⌒ノ
.      |         }     容易に想像できるものとして、その特許に含まれると考えてもよいと思われる。
.      ヽ        }
       ヽ     ノ     しかし実際には、シンクロリーダーの記録は往復する連続線ではなく、
       .>    <
       |     |       一方向に走査される円弧が並ぶ形であるという点に違いがあるだろ。
        |     |



                 ____
               /   ― \
               /   (● )  ヘ\     うーん。そうすると、どちらかと言えば
            |   (⌒   (● ) |
             ヘ     ̄`、__)  |    キヤノンの主張のほうがスジが通ってる感じかお。
               ヽ           |
             , へ、      _/
                |          ^ヽ
                |      1   |



        / ̄ ̄\
      /  _ノ´ ヽ、       まあ、これを書いている中の人は特許の専門家でもなんでもないということは、
.     |   ( ●) (●)
     |   (___人__)       念のため断っておくがな。ともかく、シンクロリーダーとナカビソーンは、
        |       _.ノ
       |     _/__゙ヽ_      四角い紙に音を記録し、その記録紙を回転させずに再生するという点は
      j、_    (〈_r- ヽ ヽ、
     √::::::...`ミュ、r'、〈`ヽ、 |    似ているものの、それ以外の共通点は乏しいと言えそうだろ。
    /.::7 ̄ ̄. : : .:.:.ヽ_ヽ   ト、
  / .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..\Yー‐ソ,
  ,' .::::/.::::::::::::::::::::/ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
  i .:::::::::::::::::::::::. ::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
  i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|



                ____
              /      \
             / ヽ、   _ノ \     記録した紙を回さないっていうところを考えると、
           /   (●)  (●)   \
           |      (__人__)     |   フロッピーディスクとも、まだずいぶん違ってる感じだお。
           \     ` ⌒´     /ヽ
            /              \
            (  ヽγ⌒)        ヘ   \
         ̄ ̄ ̄\__/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  {;;;;;;;}
                   L;;;;」



       / ̄ ̄\
     /     _ノ ヽ     なお、中松氏の特許に磁気的な記録が含まれるかどうかについては、
     |     ( ●) |
     |      (__人)    特許分類を参考にすることもできそうだ。特許分類とは、特許審査や
     |        ⌒ノ
     ン        ノ      出願に際して先行特許の情報を検索しやすいように、個々の特許の
    /⌒ヽ、    _ノ
   /   ノ \__ィ ´        分野に応じて特許庁が与える分類番号だろ。複数の分野にまたがる
  /  /    '|.
 (  y      |.          特許の場合は、分類番号が複数設定されることもある。
   \ \    |
    \ィン、__)、
     .|     ij ,ノ



                ___
               /     \
             / \ , , /  \     確かに、ある程度ちゃんと分類しとかないと、
           /  (●)  (●)   \
            |     (__人__)     |    前の特許で似たようなのを探すのが大変になりそうだお。
           \     ` ⌒ ´    ,/
            ノ          \
         ._i⌒i⌒i⌒i┐         ヽ
        ( l  l  l  l l
         ヽ      /



         / ̄ ̄\
       /   _,ノ `⌒     このころ使われていた日本独自の分類では、頭の数字が「102」は
       |    ( ●) (●)
       .|     (___人__)     音響装置に関する特許を示していただろ。そして「102A」が音響装置一般、
       |        ノ
        _,.|        |      「102B」が録音・再生一般、「102C」が蓄音機を含む機械的録音・再生、
.―― < / |ヽ      丿
:ヽ : : : : :/ : :| \ __ _ /       「102D」が光学的録音・再生、「102E」が磁気的録音・再生と続いている。
: :| : : : く: : : :|、 /=|´| :| .\
: : : : : : :> : | `'|::::/|/:,┘ : . ヽ    その後にさらに数字が付いて、細かい分類を表すわけだ。
:/ : : : : ヽ : : |  |:::| / : :> : : : : :丶
:.: : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
: : : : : : : : :Λ:|'::::::ノ: :/_ : : : / : : : .丶



               ____
              /        \   人
             /           \   て   そうすると、もう一回実際の特許広報を見てみればいいわけかお。
             / \     _/      \
             |  (●)   (●)      |      「重色レコード」には「102D1」、「積紙式完全自動連奏蓄音器」には
.            \  (__人__)  u.   /
            /  `⌒ ´       \      「102B0 (102C82) (102D0)」って書いてあるお。
       彡三三ミY彡三三ミ\--、    |
        \    \\    \E |    ノ



        __
       /   _ノ\
      /     (一)     つまりどちらも、「102E」で始まるものがないわけで、これはすなわち、
       |     (__人)
      |          l     特許庁が特許の内容を確認した上で、磁気的な録音・再生の発明が
.       |        |
.      ヽ      ノ     含まれるとは捉えていないということが示されているわけだろ。
       ヽ     /
       /    ヽ      もっとも、この分類自体に直接、法的な効力があるわけではないがな。
       |     |
        |.       |


                ___
              /     \
            /⌒   ⌒  \       つっても、いいかげんな分類をしたら特許庁だって困るだろうし、
           / (●)  ( ●)   \
            |    (__人__)      |     ある程度公平性のありそうな情報っぽい感じだお。
           \_  ` ⌒´    __/
           /´:::/ヘ;;;/∨::\::::::::`ヽ
           i:::,::>:::i/;;;;i /:::::::く:::::::,::::::ヘ
          {:::i::ヽ::i;;;;;;;/:::::/::::::::i:::::::::}



          _____
         /    .r┐ヽ「|
       /  r-、  | .| ./ l l゙l     ただいずれにせよ、中松氏とキヤノン側のどちらに理がありそうかを
.      / .__,ノヽ ゙、_,ノ '-' .|,,/ |
     |   (●)ヽ     ノ ´/     すぐに判断するのは、専門家でもなければ難しかったかもしれないだろ。
      |       〉      〈_,,.-、
      .|    (__人{         .r''´   むしろ、名士の星野教授と有名企業が組んだシンクロリーダーに対し、
      .|     ´ ⌒|    _,.-i'´
.      .{       l-‐'''''''ーl }       「先に“同じもの”を発明していた」と市井のサラリーマンが主張するという
      {   .   |´ ̄ ̄``l }
       {      .|     |.}       センセーショナルな構図に、マスコミがひきつけられる格好となった。



                ____
              /⌒  ⌒\
            /( ―)  (―)\     確かに、そういう話は世間受けしそうな感じだお。
           /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
           |       |++++| 」_ キラッ |
           \     `ー''´ l   /



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     ところがわずか1日後、事態はまったく予想外の展開を見せる。日経新聞の
     |    ( 一)(●)
     |     (__人__)     1958年3月1日付紙面で、中松氏の主張するナカビソーンの特許権は、
      |     `⌒´ノ
      |   ,.<))/´二⊃   1955年に消滅していたことが明らかになったと報じられているだろ。
      ヽ / /  '‐、ニ⊃
      ヽ、l    ´ヽ〉     これは、今回の騒動で特許庁が調査したところ、特許料の未納が
       ,-/    __人〉
      / ./.   /    \    判明したためで、納付期限にさかのぼっての処分が2月28日に下された。
      | /   /     i \
      |"  /       | >  )
      ヽ/      とヽ /
       |       そ ノ



                ____
              /      \
             / ─    ─ \     またまたご冗談を。そんな漫画みたいな展開、いくらなんでもあるわけないお。
           /   (●)  (●)  \
           |      (__人__)     |    ソースは日経ってやつなんじゃないんかお。
           \     ` ⌒´    ,/
    r、     r、/          ヘ
    ヽヾ 三 |:l1             ヽ
     \>ヽ/ |` }            | |
      ヘ lノ `'ソ             | |
       /´  /             |. |
       \. ィ                |  |
           |                |  |



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \         この記事には特許庁の担当者のコメントも載っているし、
     |   ( ●)(●)
.     |    (__人__)         その後まもなく発行された雑誌「経済知識」1958年4月号に掲載された
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }         インタビューで、「あなたのナカ・ビソーンは特許が抹消されたそうだが」との
.      ヽ        }
       ヽ     ノ    ビシッ    質問に対して、中松氏が「去る2月28日に抹消されました」と答えている。
       /:::.ヘヤ::フ<___,-ュ__   て
        |:::::::.ヽi:::.ソ|:::::::::::li 三)  (  これが誤報とは、ちょっと考えにくいだろ。
        |::::::::::::.`´.:| ̄ ̄  ̄   ´



                ____
              /     \
             / _ノ  ヽ__  .\     特許権が消えてたのは間違いなさそうってわけかお。
           / (○)!i!i(○)   \
           |   (__人__)  u    |    それにしても、どうしてそんなことになったんだお。
           .\   )t-ツ     /
            /   ⌒´      \
            \_(__)      i\(__)
             |          |



         / ̄ ̄\
      /   ⌒ ´ ⌒          そもそも日本の特許の仕組みとして、特許を取得した場合、
.     |    ( ●) (●)
      |     (___人__)         その権利を維持するためには特許料を国に納めなければならないだろ。
      .|        ノ
       j        |           ただし、特許登録の際には3年分の特許料も一緒に納付する必要がある。
     ..ノヽ、    , ノ       _
、一一´:::::::::::::≧ーー"7          i' Y
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、       i l _
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、   | lフ ト、
:::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ  i/ ,.イ 丿
:::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l /  i'r ´,.ィ
:::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j  丿r´,.ィ
:: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八   `チ



                ____
     , ヘー‐- 、    /ヽ  / \
   -‐ノ .ヘー‐-ィ  /(●.)  (● )ヽ     ナカビソーンの特許が、1952年に登録されてたってことは、
  ''"//ヽー、  ノ ./:::⌒(__人__)⌒::::::ヽ
   //^\  ヾ-、.|    |r┬-|     |     何もしなくても、そこから3年後の1955年までは権利が守られたわけかお。
 ,ノ   ヽ,_ ヽノヽ_)\   `ー'´    /
 /    <^_,.イ `r‐'゙ ::::ヽー‐-..、  ,..-‐|、
 \___,/|  !  ::::::l、:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.| \



       ./ ̄ ̄\
      ./     _ノ ⊂_ ‐-' <      問題は4年目以降で、そこから先、3年ごとに1年あたりの特許料が
      |     ( ―)  λ   ヽ
    ,ヘ__|      (__人)  ヽ  ',    あがっていく。そのため、特許によって十分な利益を得られる
  __,/   ` <    ⌒ノ  . r'-‐¬
/---‐――--.、ゝ\  ノ   」-‐>ヽ   見込みがなければ、特許料を払わないという選択もある。そうすると、
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./⌒ヽ. ´_ノ   /  ´   l
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /´ `ヽ     ヽ.  , , .!  特許権は消滅し、その発明は誰でも自由に使えるものになるだろ。
.:.:.:.:.:.:.:.:/ /     ヽ     l` / / /!
:.:.:.:.:./  ./    _ __ヽ-、   !/. ,' l !
.:.:.:.:.:l _十''''''''""     \ <   ' l



                 ____
              :/    \:
             :/ _ノ iiiii \. \     いわゆるひとつのパブリックドメインってわけだお。
            /  (○)  (○)  \
           : |    (__人__)    |:   それにしても、もしうっかり特許料を払い忘れたら大変だお。
             \   ` ⌒´   /
             / ⌒ /⌒Y⌒ヽ ヽ
            :|  \|  .i  イ |
             |\ /   人  .\!
             |  \___/  \__/:
              |        /
              |         /



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \       それを考慮して、納付期限から半年間は追納をすることができるが、
     |   ( ●)(●)
.     |    (__人__)       この場合は特許料が倍額になるというペナルティーがあるだろ。
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }       そして追納期間も過ぎてしまうと、特許は納付期限にさかのぼって消滅し、
.      ヽ        }
       ヽ     ノ___mm   どんな理由があっても復活しない。
       /:::.ヘヤ::フ<:::::::::::liつノ
        |:::::::.ヽi:::.ソ| ̄ ̄ ̄
        |::::::::::::.`´.:|



                ____
              /      \
            /  _ノ  ヽ、_  \     「おきのどくですが とっきょ1は きえてしまいました」ってわけだお。
           /  o゚⌒   ⌒゚o  \
           |    (__人__)     |    それにしても中松さんは、未払いにはぜんぜん気づいてなかったんかお。
           \     `⌒ ´     /



   ____ ミ
 /    ~\
/   ノ  (●)\           先の日経新聞の記事によれば、中松氏は代理人の弁理士に一切を
|   (./)   ⌒)ヽ
\     (__ノ,.<))/;、         任せていたそうだろ。しかし弁理士は特許など知的財産権の専門家のはずだし、
  \     / /  '‐、>
   `\__l    ´ヽ〉       このころの特許広報を見る限り、中松氏は特許出願の際に、弁理士を
    ,ノヽ、ノ    __人〉
 , /'"|::::_/ヽ.   /:::::ヅ!:゙、-、_    代理人に立てずに直接手続きをしているようだ。この弁理士がいったい
''":::::::::::/´∨/`ー'〉 7:..ヽヽ:.:|:::::゙'ー、
::::::::::::y′.: ',ゝ、_/::\:.:.:| |.イ:::::::::|:::!  どういう仕事をしていたのか、なかなか興味深いところではあるな。
::::::::/: ://: : : :|::::::::ヽ::|/:i::::::::::::i::|



                ____
             //   \\
            /( ●)  (●) \     一切を任せられていても、出願の代理はしないってわけかお。
          /::::::⌒  、_!  ⌒::::: \
          |     'ー三-'     |
          \              /




     ∩⌒ヾ
     い   )
      、 . ノ
      |  | / ̄ ̄\
      |  |./   _ノ  \     さておき、これによって中松氏は、シンクロリーダーについて、
      |  |   ( \)  l
      |  |   (⌒ (\)     自身の特許権を侵害すると主張することができなくなったわけだ。
      |  |   / ̄(__丿
      ト    /ー、/        しかし中松氏が転んでもただで起きる人物でないことは、あえて説明する
      |     \ノ
      |      )         必要もないだろ。中松氏は先に触れた「経済知識」のインタビューの中で、
      |      /ヽ
      |      /三)        「スーパーナカビソーン」という改良版の特許を申請したと述べている。
      ノ     〈  ̄
     /   _  ⌒ヽ
   /   /  |   |
 /   /    |   |



               ____
              /⌒  ⌒\
            /(⌒) (⌒) \     攻めの姿勢が前面に出てるお。
           / ::⌒(__人__)⌒:::  \
           |      |::::::|    ,---、   で、それはちゃんと特許になったんかお。
           \     `ー'    しE |
           /           l、E ノ
         /            | |
         (   丶- 、       ヽ_/
          `ー、_ノ



       / ̄ ̄\
      /   _,.ノ `⌒     実際に1958年3月に出願したもののいくつか※が、後に特許登録されているだろ。
      |    ( ●) (●)
     |     (___人__)    もっともそれらのどれがスーパーナカビソーンに相当するのかは不明だが、
      .|     ` ⌒´ノ
      |        |      注目されるのは、これ以降、中松氏による紙シートを利用する音響機器の特許は
        人、       |
    _,/(:::::ヽ、  __ ,_ ノ      ほぼすべて、特許分類に102E、つまり磁気録音・再生が入るようになったことだ。
― ''"::::::::::\ ::::::::::::::::::7、_   ______
、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.../´ ヽ、,,,__ノ   ※特願S36-8778、特願S33-6243、特願S33-6748
:...ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   ヽ、 } ̄)
::::::...ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ'   、 ヽ .ノ  ̄
:::::::::...:ヽ;;;;;:::::::::\::::::::::/(     r_ノ|
:::::::::::::::....ヽ;;;;;;::::::::::/⌒ヽ::::ヽ、y-ィ´|;;;;|
;;;;::::::::::::::::丿ヽ;;;;/....:::::::;;;;;;;;;;::);;;::::::::::|;;;;|



               _____
               /      \
             / ⌒    ⌒ \     シンクロリーダーをバリバリに意識してるわけかお。
           /  ( ●)  (● ) \
           |      (__人__)     |
           \       凵    /
            /           \



         / ̄ ̄\
       / ヽ、. _ノ \       中松氏はすでに、新聞の地方面で発明が何度か取り上げられるなどしていたが、
       |  (●)(●) |
       |  (__人__) |      これ以降、「発明家」として週刊誌や学習誌などのマスコミに登場する機会が一気に
.       |   ` ⌒´  |
        |        }       増えていくだろ。ただ、報道をよく見ない記者が多かったのか、はたまた次々と
        ヽ       }
        人_____ノ"⌒ヽ     特許を出願する中松氏の勢いに圧倒されたのか、最初のナカビソーンの特許が
      /           \
      /   {;;;;;;;}    \  \  消滅したという一種劇的な展開について触れた記事は、ほとんどないようだ。
      (  ヽγ⌒)         ゝ   i
   ̄ ̄ ̄\__/ ̄ ̄ ̄(⌒)__ノ ̄ ̄ ̄ ̄



.              __
                 -´   ``ヽ
.             / ⌒      `ヽ     今の目から見てみると、イマイチ食い足りない感じかお。
         /        `ヽ  ヽ
.    ((   / (●)          ヽ
        |::⌒(__   (● )      }
        ヽ   人__) ⌒::::.       |
          ヽ(__ン            |
         人.            /  | |
          /           _ノ  ノノ
                     |



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \      さてここで、一連の動きの中で最初に中松氏の名前が出てきた経緯について、
     |    ( ●)(●)
     |     (__人__)      もう一度見てみよう。日経新聞の報道を見る限り、中松氏は自らすすんで
.     |     ` ⌒´ノ
.      |         }      名乗り出たわけではなく、勤務先に問い合わせが入ったために応対した形だし、
.      ヽ        }
       ヽ、.,__ __ノ      後の中松氏の著書「三倍の人生」にも、「昭和33年2月27日、兜町から
.-― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、
゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_   突然電話がかかってきた。兜町など、私には因果関係はまるでない。」とある。
;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::



                ____
              /      \
             / ─    ─ \     兜町っていうと、東京の証券取引所があるところだったかお。
           /  (●)  (●)  \
.           |  :::::: (__人__)  ::::::  |
            \     `ー'´    ./ヽ
            (ヽ、       / ̄)  |
             |  ``ー――‐''|  ヽ、.|
             ゝ  ノ      ヽ  ノ |
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



        / ̄ ̄\
      /   _,ノ `⌒     「トンデモ本の世界」でも、中松氏の書籍での記述をわりと素直に解釈して、
      |    ( ●) (●)
      .|     (___人__)     「1958年、三井物産の社員だった中松氏は、学生時代に出した特許が
      |        ノ
      .|        |     当時騒がれていたシンクロリーダーの概念に抵触するものであることを、
      人      丿
    /⌒  \ __ _ /       兜町からの電話で知らされる。」と説明している。しかし実際のところ、
    /       \
   ./  人    ./ ヽ      こんなのんきな話だったとはとても考えられないだろ。
  〈  <      / \ \



                 ____
             /      \
            /  ー) (ー  \     そりゃまたどういうことだお。
          /  ,(●)  (●),  \
          |      (__人__)    |
           \     ` ⌒´   ,/



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     なにしろ、先に触れたスーパーナカビソーンに相当すると思われる
     |    ( ●)(●)
.     | u.   (__人__)    特許の出願は、1958年の3月3日から3月14日にかけて行われているだろ。
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }     図面を用意する手間などを考えると、これらが、この騒動が起きてから
.      ヽ        }
       ヽ     ノ     急に発明されたものとは考えにくい。
        i⌒\ ,__(‐- 、
        l \ 巛ー─;\
        | `ヽ-‐ーく_)
.        |      l



         (( (ヽ三/)    (ヽ三/) ))
             (((i ) ___( i)))
            / /⌒  ⌒\ \
            ( /( ●)  (●)\ )     ただの思い付きじゃなくて、確認の実験なんかをやってたとしたら、
            /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
            |              |    それなりに時間はかかるわけだお。
            \             /



    _     ______
   l i  /    \
   l l_./ _,ノ  ヽ、,_\     また日経新聞の記事でも、2月27日付紙面、つまり中松氏が不在だった
   l/ ニヽ( ●) ( ●) .|
   l / y 「'i___人___)  |     26日の時点で、第一物産からは、「けさ知ったばかりで技術的なことは
   l   <、.l         |
   ',    ',/       |     よくわからないが、同一原理のものときいている」とのコメントが出ているだろ。
    j    ノ      ,/'|、
  _∠⌒ヽ j 'i, __ , __ ィ/::L___
/ ...::::::::::ヽVヽ::::::::::::::::::::::::::/:::..´''' 、、、 _
...:::::::::::::::::::: 〉::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... i::..\
:::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::::::: l



               ____
              /     \
            / \:::::::::::/ \     そもそもだれが同一原理って言ってたかを考えたら、
           /  (●):::::(●)  \
           |     (__人__) u   |   中松さん以外に当てはまる人はちょっと思いつかないお。
           \  . |┬-r|    /
            /   `ー´9mー )
                   `ーー‐'゙



         / ̄ ̄\
        / _ノ ヽ_ \       だいたい、「三倍の人生」でも、この騒動の前に中松氏が
       |  (●) (●) |
        |  (__人__)  |       シンクロリーダーのことを知らなかったなどとは一言も書かれていない。
        |    `⌒´  |
       |        }        しかも1958年1月には、前年に星野教授らがシンクロリーダーや
       ヽ       .}
      __,_,,.ヽ_   ノー- 、     シンクロシートに関して行った学会発表の論文が、
     ハ  /  V又イ ::::〉::::::i:
     } ヽ 〈   l |;;|ノ /::::::::::i  -,,_ 学会誌「電気化学」に掲載されているだろ。
  r iY'ノ.;;  }::ヽ  l|;;| /::::i::::::::}‐ | ||
 .|| | ノ::::   }:::::::\|;;;レ'ー'' ⌒.:::: ヽ | ||
 .|| | {,,;;;; .:::: ヽー---ケト、, へ、::::   | ||
―──.::::::::::::ノ.:::/ /   彡}――─────
     " ̄`゙゙ ''ー-、'ー----'



                ____
              /      \
             / ─   ._─__\=,、     中松さんがその気だったら、シンクロリーダーの技術の
           /   (●)  { o◎;jE{;{ト}
           |      (__人__) ̄  itノ     細かいところを確認できる余裕はしっかりあったわけだお。
           \     ` ⌒´   ,/
           /     ー‐    \



       / ̄ ̄\
      /   _,.ノ  ヽ、_       さて、話を星野教授の側に戻すことにしよう。キヤノンカメラ、
      |    ( ⌒) (⌒)
     |    (___人__)       東京電気化学工業と共同で開発が進められたシンクロリーダーは、
      .|         ノ__
      |     _/  ̄\ヽ     1958年4月からベルギーで開催された、第二次大戦後初の大型博覧会である
.      人、   '、/  ̄ ヽ '、
.   _,/(:::::ヽ、  __'-r´ ̄ヽ  v    ブリュッセル万博において、日本館に試作機が出展された。日本国内では、
― ''"::::::::::\ :::::::::::::::j_√    |
、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ    r、   さらに1年後の1959年4月に量産機を発表。翌5月、発売が始まっただろ。
:::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞニニ彡〉,
:::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::( :::::::::::::::::∧^



               ____
             /^  ⌒  \
            (へ)  (へ )   \     そういや、星野さんたちはシンクロリーダーの特許をとらなかったんかお。
           /⌒(__人_)⌒::::::  \
           |   ヽvwwノ       |
           \   `'ー'        /



         / ̄ ̄\
       / _ノ  ヽ、_ \     もちろん、特許出願しているだろ。しかも発売までに出願し、その後
      .| ( ●)(● ) |
      .|  (__人__)  │    特許登録に至ったものだけでも軽く50以上と、多数の特許を取得している。
       |   `⌒ ´   |
       .|           |     しかし、1955年6月出願という、シンクロリーダーのもっとも古い特許※は、
r、     r、ヽ       /
ヽヾ 三 |:l1.ヽ      /      審査に通って公告特許広報に掲載されるまでに5年半以上と、
 \>ヽ  |` } >     <
   ヘ lノ `'ソ       ヽ      このころとしてはかなりの時間がかかってしまった。
    /´  /,1      | |
    \ ノ .|     | |     ※特願S30-16707、特願S30-16708



              / ̄ ̄ ̄\
            ../ _, 、_.  \     それって、ナカビソーンの影響なんかお。
           / (● ) (● )  \
           |    (__人__)     |
           \   ` ⌒´     /
           〆~\       /ヽ
         /:::;;;、:::::::i::ヽ`介´/::::i::::::::::ヽ
        <:::::::::::<|:::::::l::::ヽ| | i::::::7;;;;;;:l::::}
.         \::::::::\:::::\;;;i,,/:/:::::::::i:::::{



       / ̄ ̄ ヽ
      /      ヽ         実際の審査経過を調べるのはもう困難なので、その点はなんとも言えないだろ。
     /        ヽ
     |     _,.ノ '(ゞ、_|        一般論としては、中松氏の特許権は消滅しているが、パブリックドメインである
     .|    ( ー)ヽ ヽ
     .ノ| U   (___人_\\__      その発明から容易に発想できるものが、特許請求の範囲に含まれるなら、
   /  |     `⌒(⌒_   \
   {   .ヽ.       し「、    \   それは請求から外さないと審査に通らない。また登録されたシンクロリーダーの
   {   ト `ヽ. ___´ノ  ヽ、    i
   .|   |       |  /   /   特許広報を見ると、請求範囲がかなり限定されていることは確かだ。



                 ____
               /      \
             /           \     なかなかフクザツな話になってたっぽいお。
            /   _ノ ::::::: ゝ、  \
              |   (○)  (○)  u |
            \   (__人__)   ,/
            /    `⌒´    \



       / ̄ ̄\
     /  ー  ‐\     こういったこともあり、機を見るに敏な他の企業が、磁気シートへの録音を
     |   ( ●) ( ●)
     |     (__人__)     行う別の製品を送り出してきた。そのひとつが理研光学工業、後のリコーだろ。
     |      ` ⌒´ノ
     |        }     シンクロリーダーと異なる点は、円盤上のヘッドは1個で、カムの作用によって
   r⌒ヽrヽ,    }
  /  i/ | __  ノヽ     円盤の回転につれて中心方向に移動する、つまり渦巻き状に記録するという
 ./  /  /      )
. / /  /     //     ところだ。「シンクロファクス」と名づけられ、1959年11月に発売された。
/   ./     / ̄、⌒)
ヽ、__./     / ⌒ヽ ̄
    r    /     |
  /          ノ
 /      /    /



                ___      クルッ
               / ノ  ヽ_\    ̄` 、
               /(● )  (● )\    |,ノ     言われてみりゃ、渦巻きのほうがずいぶん簡単そうじゃないかお。
     ビシィッ   /    (__人__)   \    ̄
            |    し  |  Y     |        なんで星野さんは、そっちにしなかったんだお。
       Vて   \     `ー '    /
     そ と⌒ヽ  `>        〈´
         ヽ  V´          ヽ
           ヽ   /              、



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     渦巻き状の記録は、星野教授たちも検討したが、シートの中で音声を
     |    ( ●)(●)
.     |     (__人__)    記録できない部分が多くなること、紙の伸び縮みによってトラックが歪む問題の
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }     影響を受けやすいことなどから、採用しなかったという経緯があるだろ。
.      ヽ        }
       ヽ     ノ  mm これに対し理研光学工業は、シートにガラス繊維を混ぜて伸縮を少なくし、
       /    ̄ ̄ ̄ つノ
       |    | ̄ ̄ ̄   機構が単純な分レコーダーが安価なことをアピールして、発売に踏み切った。



                 ____
               /      \
             / ─    ─ \     星野教授のほうは理想の性能を、
            /  (―) (―)  \
              |      (__人__)     |    リコーのほうは値段の安さを追求したって感じかお。
            \     `⌒´    ,/
            /     ー‐    \



        / ̄ ̄\
      / _ノ  ヽ、.\     なお週刊誌での報道によると、中松氏はこの前年から、理研光学工業の
     |  (●)(●) .|
.     !  (__人__)  |     接触を何度か受けていたそうだろ。理研光学側もこれを認めたうえで、
     , っ  `⌒´   |
     / ミ)      /     中松氏の開発した現物を見せてもらったわけではないと説明している。
    ./ ノゝ     /
    i レ'´      ヽ
    | |/|     | |



                 ____
               /⌒  ⌒\
             /( ―)  (―)\      で、リコーのほうが安かったっていうのは、結局いくらなんだお。
            /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
            |              |    そういや、キヤノンのシンクロリーダーの値段も聞いてないお。
      __( ⌒-ィ⌒ヽ、   /⌒` '⌒ )__
           `ー-ゝィソノー‐ヾy_ノー"



       / ̄ ̄\
     /   __ノ ヽ      キヤノンのシンクロリーダーは本体135,000円、録音内容の消去器が15,000円、
     |    ( ●) )
     .|       (__人)     その他のオプション品も含めて一式が約20万円というところだ。これに対して
      |         rつ
      .|        ((三)   理研光学のシンクロファクスは本体が約4万円、消去器などを含めて一式で
      ヽ       ( <
       ヽ    /∧ ∨   6万円から7万円と発表された。なおこのころの金銭を2010年代に換算すると、
       ∠    /⌒ ∧ ヽ
      (  \ /  / ___)  おおまかに言って10倍くらいの価値はあると考えていいだろ。
      |\  ''  /|
      |  \_/  |



                ____
              /_ノ  ヽ、\
            /(●)  (● ).\       ってことは、今で言ったら、シンクロリーダーは150万円から200万円、
           /   (__人__)  u \
          n|i 7    ` ⌒´      n|     シンクロファクスは60万円から70万円って感じかお。これじゃあ、
        l^l | | l ,/)      U  l^l.| | /)
        ', U ! レ' /   ー‐    | U レ'//)  いくら画期的でも、シンクロリーダーは高すぎな感じだお。
        {    〈         ノ    /
        ..i,    ."⊃    rニ     /
         ."'""⌒´       `''""''''



       / ̄ ̄\
     /    _,.ノ  ヽ、_        シンクロリーダーは、最大録音時間が10分と、シンクロファクスの
     |    ( ●)(●)
     .| U   (___人__)        2倍以上で、シートの途中からの再生も簡単などといった利点もあったが、
      |     ` ⌒´ノ
      |        |_,-‐、_ -、   それでは価格差を埋められなかったようだろ。1959年末までの約半年での
     .人、      厂丶,丶 v 〉.
   _,/::::ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ    __ノ    販売数は当初の期待を大きく下回って1,000台にも届かず、1960年には、
-''"::::::::::::\::::::::::::::::::::(    <"ニ‐-、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r  /⌒ヽ;;;;;;; )  理研光学が市場を完全に独占したという新聞記事まで出る有様だった。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;;;|
;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;〈 ;;;;:::::::::::... ',;;i
;;;;;;;::::::\::::::::::::::::::::::;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',



                ____
              /      \
            / ─    ─ \     なんにしろ、
           / -=・=-   -=・=- \
           |      (__人__)  U  |   まずは買ってもらわないと話にならないわけだお。
           \     ` ⌒´     /



      / ̄ ̄\
    /    _ノ \           このためキヤノンカメラは、1960年に入ると、東芝と提携して、
    |    ( ●)(●)
    |     (__人__)          家庭向けにより低価格化した製品「シートレコーダー」を開発すると発表。
     |      |r┬| .}
     |       | | | }           この年の11月に、渦巻き状記録を採用した録音再生両対応型を32,000円で、
   ,..-'ヽ     `ニニ }
  ./::"::::`ヽ、.,__ __ノ ゙           再生専用型を17,800円で発売した。理研光学工業もこれに対抗して、
 /::i::::::::::::"'弋'!ー',イ>|'_ノ´`ー -,,_ _
. }:::゙|::::::::::::::::::::~゙:_戈;f"  、    イ/ `i   同じ11月に25,500円の普及型「シンクロファクスP型」を発売しただろ。
/:::::::!;:::::::::::::::::::/',r.テ    \xー.ォ、__ノ
::::::::::::ヾ!:::::::::::::l .l r'   ` 、_冫y"
:::::::::::::::::\o:::::l .ト、  ヽ,_ノ"ー'
:::::::::::::::::{::::{\代 l>ー、,_ノ



               / ̄ ̄ ̄\
             / /     \ \     そういや、中松さんのスーパーナカビソーンは
            /  (●)  (●)  \
            |    (__人__)    |   どうなっちゃったんだお。
            \    ` ⌒´    /
            /              \



                     ,. 、
       / ̄ ̄\       ,.〃´ヾ.、
     /   _ノ  \     / |l     ',     中松氏は、1959年のシンクロリーダー発売前後の雑誌インタビューで、
     |    ( ●)(●) ,r'´  ||--‐r、 ',
.     |     (__人__)ィ'´    l',  '.j '.    スーパーナカビソーンについて「東芝、小西六をはじめ11社が生産を
      |      `'r '´          ',.r '´ !|
.      ヽ     l!     ....:.:.:.:.:.:ヽ、.  ,l    希望している」「値段は1万円台」などと説明しているだろ。しかし
       ヽ    ゝ、.,_ --‐77‐‐-―.ゝ、ノ
       /    く  .\. //            この年のうちには、具体的な製品発表には至らなかったようだ。
       |     \   //
        |    |ヽ、二⌒)、



               / ̄ ̄ ̄ \
             /       . \
            /  _ ノ   ヽ、_   \     おまけに、東芝はキヤノンと組んじゃったわけかお。
           .|   (ー)  (ー) .  |
            \    (__人__) .  /
             /    `⌒´    ヽ
            ヽ、二⌒)   (⌒ニノ



         __
       /   _ノ\
     /.     (●),     その後1960年の半ばごろになると、日本コロムビアがシート式磁気録音機
     |      (__ノ、)
.     |          |     「ナカビゾン」を年末に発売する意向であることが明らかになる。
.     ヽ        |
      ヽ     ノ      もっともどういう事情があったのか、正式な発表は大幅にずれ込み、
       ヽ    (
        >    ヘ      翌1961年11月にようやく、「コロムビアナカビゾン」の名称で登場しただろ。
        |     |
         |     |      価格は、録音内容の消去器などがセットで35,500円だった。

Nakavison_columbia





         _∩
        / 〉〉〉
        {  ⊂〉     ____
         |   |    /⌒  ⌒ \
         |   |  /(●)  (● ) \     ってことはこれが、「スーパーナカビソーン」の市販第1号機ってわけかお。
         |   |/:::⌒(__人__.)⌒:::  \
         ヽ   |     |,┬‐ |       |
          \.\   `ー ´     /
            \       __ ヽ
             ヽ      (____/



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     まあ、一応そう考えていいようだろ。ただ、コロムビアのナカビゾンは、
     |    ( ●)(●)
.     |     (__人__)    製品写真を見る限りヘッドの動きは渦巻き状で、先に触れた、
      |     ` ⌒´ノ
.      |     ∩ ノ ⊃    中松氏が1958年3月に出願した特許とは、だいぶ内容が違う模様だ。
     /ヾ.、_  ノヾ、_ノ
    (.:::::::\ /::::./ノ:│    渦巻きのほうは、出願したものの特許にならなかったという可能性もあるがな。
     \:::::..“::::/_|::::::|
      \::/Φ:::::::::::/
         ̄  ̄ ̄



            _.. ‐'''''''''''' ‐ 、
          ,r'        \
          / ⌒         ヽ,     っつっても、開発途中での製品の仕様変更ってのは、
         ( ●)    ⌒     ..i
         i.     ( ●)    .|     そう珍しくもなさそうだお。
        . \(_入_ノ      /
           \______/
           ./ゝ/ノ:::::::::::::::::\
           |ノ//::::::::::ヽ,::::::::::|
           |^::::::::::::::::::::::|:::::::::|
           |^::::::::::::::::::::::|:::::::::|



      ./ ̄ ̄\
     ./  _ノ  ゝ\       ともかく、最初のナカビソーンの特許で示されたものと
     |   ( ─)(─)}
     .|    (__人__).|       比べただけでも、磁気的な記録・再生を採用した点が大きく異なる上に、
     |     ` ⌒´ ノ( ((
       |       ( ( ヽ)     スーパーナカビソーンからコロムビアナカビゾンとしての製品化までにも、
      ヽ       ¦ヽノζ
      __>,,,ろ==| ̄ ̄ ̄|     かなり実態が変わっているわけだろ。しかし「三倍の人生」をはじめとする
    /⌒ /  ̄}⊃|     .|
    {  /    } )=ヽ___ノ)     中松氏の著書では、これらを全部まとめて「ナカビゾン」と書いている。
   / /  >ー ´   イ {
   ( ./  イ       |  .}



              / ̄ ̄ ̄\
           γ⌒)      (⌒ヽ     そりゃ、話がややこしくならないわけがないお。
           / _ノ ノ    \  \ `、
          (  < (○)  (○)   |  )
          \ ヽ (__人__)   / /



       / ̄ ̄\
      /  __,ノ  ヽ、_     さて、さらにもう少し先を見てみることにしよう。シート式磁気録音機は、
      |   (● ) (● )
     |    (___人__)i     ほかにも日立の参入予定が報じられるなど、一旦は乱戦模様となった。
.      |        ノ
      |        |     ただ、各社が期待していた電話録音などの事務機器としての活用は
.      人、       |
.   _,/(:::::ヽ、  __ ,_ ノ     この盛り上がりに反してあまり広がらず、結局は低価格品をいち早く投入して
― ''"...:::::::\ ::::::::::::::::::7、
、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..-、_   市場を押さえた理研光学工業の優位が揺るぐことはなかったようだろ。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙'ー、



               ____
             /      \
            ─   ─    \     そこは、リコーの作戦勝ちってわけだお。
           (●)  ( ●)      \
           | (_人__)        |
            \` ⌒´       /
             / ー‐       ヽ



       / ̄ ̄\
      /   _,.ノ  ヽ、_     逆にキヤノンカメラは、星野教授との提携から2年足らずでシンクロリーダーの
      |    ( ●) (●)
     | U  (___人__)     発売にこぎつけたのはよかったものの、中途採用も含む大量の人員と、
      .|       __ノ__
      |     _/ ___\ヽ_   4億とも6億ともいわれる資金を投入していた。これに対して実際の売れ行きが
       、    '-/____ヽ  |
       ノ 、 ._'-〈  、ヽ  |  あまりに悪かったため、東芝と組んだシートレコーダーも含め、
      ,´         ヽノ}   |
     /          {   /   事業の継続を早々にあきらめざるを得なくなってしまっただろ。
    ./  /       /   {




                ____
              /      \
            /  _ノ  ヽ、_  \     社長の肝いりのプロジェクトだったわけだし、
           /  /⌒)   ⌒゚o  \
           |  / /(__人__)      |   前評判が高すぎて調子に乗っちゃった感じかお。
           \/ /   ` ⌒´     /



.        / ̄ ̄\
.      / ノ  \ \/`i      ここで危うく余剰人員となるところだった技術者たちは、
     |  (●)(●)./  リ
.     |  (__人__)..|  /       改めて新規製品の開発に振り向けられただろ。
      |   ` ⌒´ リ  ヒ
.      ヽ     //  ,`弋ヽ    そしてその後、1964年発売のキヤノン初の電卓であり、
   __ ヽ  - ′.Y´  , `ヽ`.l
  / :  : :介〈  `ー〈::....ノ   Vヽ  同社の事務機事業への道を開いた「キヤノーラ130」を生み出すことになる。
  | : : : : ::〈 「`ヽ_ー 、 `ヾ_/ //:|
  | : : : : : /: | {::::} フ-、`ー┴‐- │
  | : : : 〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|



                 ____
               /      \
             / ⌒    ⌒ \     そうだったんかお。
           /  (●)  (<)   \
           |     (__人__)      |    これは社内リストラが大成功した例ってわけだお。
           \    `⌒´     ,/
           /    ー‐   ∩_\
          /  ,|       (____)



          / ̄ ̄\
        /   ⌒  \     また発明者である星野教授が、シンクロリーダーをどう振り返ったかは
      |    (● )(● )
      |.      (__人__)     調べ切れなかったが、氏に名誉教授の称号を授与した東京工業大学は、
      |      ` ⌒´l
      |          }     シンクロシートの録音内容の複製に適した磁性材料の研究開発が、
      | _        }
     ,l(  ゙)    ,ノ )     高密度磁気記録材料開発のさきがけになったとしている。
     |/   |`ー一"  |
      ヽ  /    ヽ ノ
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



               ____
              /\  /\
            /( ●)  (●)\     こっちも結果的には、いい方向につながったわけだお。
           / :::::⌒(__人__)⌒:::::\
           |     |r┬-|       |
           \     ` ー'´     /



        / ̄ ̄\
      /   ヽ_  \       さて理研光学工業のシンクロファクスは、1962年ごろにはラインナップを4機種に拡大。
      |    (⌒ )(⌒)
.      |     (__人__)      理研光学が当初は想定しておらず、むしろシンクロリーダーの星野教授が提唱した
       |     ` ⌒´ノ
.       |         }       用途である教育向けに、実践的な研究が行われ、「シート学習」という分野を
.       ヽ        }
        ヽ      ノ       形成した。1960年代半ばには、公立学校の将来的な指針として、各校に複数台の
     _,,,,ノ|、 ̄//// \、
 _,,..r''''"/ | \`'/  /  |  ̄`''ー-、 シート式磁気録音機を設置するのが望ましいとした自治体も出ただろ。
./     /  |  /\  / /    / ヽ
ノ |  > |/)::::/\/ \   ノ /}
{   | {   | ,r":::ヽ /   /  / // ハ



                            ,.-、
                ____        ( ノ゙\
               /      \    i′ ヽ_ )
             / ―   ―  \   .〉  ,.く      もしそのとおりに設置が進んでたら、
            / (●) (●)   \/   ハ ヽ
             |   (__人__)      |   /  ヾ     授業風景がだいぶ未来っぽくなってたかもしれないお。
            \    ヽノ      / /  ! i
                  \_          <、   〃ノ
             /       ,.-、   _, -` く '"
                /   |       (`   ̄     〉
               !  <|       ヽ、__,.― --―'
            \_ ヽ''^ヽ      |
               `ヽ、_ン′       |



       / ̄ ̄\
     /   _⌒  \     さらにシート学習の活用研究は、1970年代にかけて広範囲に盛り上がりを見せた。
     |   (●)(●)
.     |   ⌒(__人__)     個別学習を容易にすることから、自習中心のいわゆる学習塾や、異なる学年の
      |     |r┬| .}
.      |     ー―' }     児童生徒が同じクラスに入るような僻地の学校でも、有効性があるとされただろ。
.      ヽ        }
       ヽ     ノ



                       __
                      ´: . : .\   _
                        / /⌒ヽ: .| /: . : \
          f 「{ r、         {: ./     ': .|/ /⌒\: ヽ
.            | | J│      ∨>―<:∨:/─-   : . }
.         (\} ゙   し´}ト----、/: . : . : . : . : . ⌒丶\|: /
         ヽ   /   八  〃: . : . : . : . : . : . : . : . :\|∧  --、___
               /  \/: . : . : . / . : . : . | : . : . : . : . :∨      ノ
          ゙、  ∧__//イ : . :、/|: ,'|: . : .∧ : . : . : . : Ⅵ ̄  ___/
           〔∨ / ∨__| : . : .∧|/│: . :| ¬、: . : . : . 〈゙ー< . : |
           〕     ∨| : . |/___八 : 八__ヽ: . : . : . :∨    : |
             {/    〈|小: | _,刈 ∨  _,刈`∨: . : . | |   〉 |     「のんのんびより」に出てくるような学校での
.            ∨      マ| :小 Vソ    Vソ ノ: . /: ∧|\_,/ : |
              ∨      '|: .:|⊂⊃ ′   ⊂⊃厶イi∨  V/ : . : |     使い道がありそうだったわけかお。
            ∨     | 从     ヽ       /: ./ノ    V/ : . |
              ∨   |: .:个   └‐   イ/: ./´      V : . |
              ∧   人: .:|/ ≫r‐=≦ {{/: ./ニ=-  _   | : . :|
               /: . \   ∧:| /ィ|    /レV__  _ァ=-_ | : . :|
            i : . : .∧  /じ/  l乂__,,/ /, 入//⌒Yハ | : . :|
            | : . :/ ヽ// /  |`'一ァ  // /  マニニ川 | : . :|
            | : .│   | /    V^∨  |_じ|    | __]|| | : . :|
            | : .│  r勺    {___,〕   |  |   |___」| | : . :|
            | : .│  |¨7     |┛│  |  | ,/ |   |||| | : . :|



         |
    / ̄ ̄\
   /   _ノ  \.           こうして、1963年に理研光学工業から社名を変更したリコーは、シンクロファクスの
   |    ( ●)(●)
.   |  ::::::⌒(__人__)          販売対象を教育市場に絞り込んでいくことになる。1960年代末ごろから、約4万円で
   |     ` ⌒´ノ
.   |         }.    。      個人や一般家庭向けの販売も開始。子供たちにも親しみやすいよう、新たに
.   ヽ        }    /
    ヽ     ノ   ./        「マイティーチャー」という製品名を付け、一時期はテレビCMも放映されたようだろ。
     / lヽ介/lヽ、 ,rE)
.     | | ~ヾ/~ |. ソ◇'         TDKはリコー向けにもシートを供給して、需要の拡大に応えたとしている。
    | |  ゚|  |\/____E[]ヨ__________
  _ | |  ゚|  |__
  |\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
  |\\  ⌒  ⌒ 甘 \
  |  \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|



       ,、 「l /)
       | !,l |//.、
       `、   (゙)}     ___
        l.  ィ''´   /⌒  ⌒ \
         |  |  /(⌒)  (⌒ ) \     カセットテープでも有名なTDKの、抜け目ない対応ってわけだお。
         |  |/:::⌒(__人__.)⌒:::  \
         ヽ  |     |,┬‐ |       |
          \.\   `ー ´     /
           \       __ ヽ
            ヽ      (____/



          / ̄ ̄\
         / ノ     ヽ       リコーの好調ぶりに刺激されたのか、1970年代に入ると、教育機器としての
         |  (●)(●) |
         |  (__人__) |       シート式磁気録音機の市場に、新たに参入しようとする企業もいくつか出てきた。
         |   ` ⌒´   |
         ヽ        }       そのひとつが、学習雑誌の老舗のひとつであり、カセットテープなどを使った
       __,, -ヽ     ノ -、
      /⌒ヽ  | \><ヘl ヽ \ .   教育機器も展開していた学習研究社だろ。中松氏を迎えて改めて製品の
      {:::   l  \ ヽ };;{ |   | i  }
     {:::::.. 〈;;,,  ヽ V;;;}ノ  l彡 ヽ   研究開発を行い、「学研ナカビゾン」を本体58,000円で1975年4月に発売した。
_,,.-‐''" |::::::::  ヽ--、 \ 〉--'⌒ヽ::.  }
|| |_,,.ィ'|::::.....   }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::  )_,
|| | || !::   /      .::ノ::::::::::.  ノ
|| | || _ヽ,, .;:::   _,,.-‐''"ー''--'' ̄
,,. -‐''"  `ー---''"

Nakavison_gakken





                 __ _
  _,rーく´\  , --、   /⌒  ⌒ \
,-く ヽ.\ ヽ Y´ /   /(●)  (●) \     中松さんも、なかなか粘り強いお。
{ -! l _」_ノ‐′/   /    (__人__)    \
ヽ ゙ー'´ ヽ  /   |     . `Y⌒y'´     |
 ゝ、  ノ_ イ    \     ゛ー ′   ,/
   ヽ     |     /    ー‐     ヽ



.        / ̄ ̄\
.      / ,ノ  \ Y⌒i   __     学研ナカビゾンは、1枚のシートにふた通りの内容が記録されているのが
     |  (●)(●) |  |  ./ .)
.     |  (__人__) .|  | / ./     特徴だろ。中松氏が1960年に出願した「複数渦巻式録音再生装置」
      |   ` ⌒´ リ  i_/ ./
.      ヽ     /  ,`弋ヽ      「複数渦巻式記録再生シート」などの特許※を利用していると考えられる。
   __ ヽ  - γ⌒ヽ Y´ ,`ヽ
  / :  : :介〈  `ー 、く  〈::...ノVヽ   これは、一方の渦巻きの中央部の未記録エリアが他方の円周部分の
  | : : : : ::〈 「`ヽ_ー 、 `ヾ_/ //:|
  | : : : : : /: | {::::} フ-、`ー┴‐- │    記録エリアになるよう、部分的に重ねて記録するというものだった。
  | : : : 〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|
                        ※特願S35-48496、特願S39-25052



                ____
              /⌒  ⌒\
            /( ●)  (●)\     それはけっこう実用的な工夫じゃないかお。
           /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
           |     |r┬-|     |
           \      `ー'´     (⌒)
            >          ノ ~.レ-r┐、
           /          ノ__  | .| | |
            |          〈 ̄   `-Lλ_レレ
            |          ̄`ー┬--‐‐´



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \       ただしこの特許を利用したこともあって、どうやらリコーの機器や
     |    ( ●)(●)
.     |     (__人__). rm、   シートとの互換性はなかったようだろ。個人や一般家庭向けはともかく、
      |     ` ⌒´ノr川 ||
.      |         }.,!  ノ'   学校市場への浸透は期待できないということになる。
.      ヽ        }モニカ
       ヽ     ノソ.:.::.:/
       /:::::.、ヘヤ/.:.../
        |:::::::::..`´.:.:.:/
        |:::::::::::.:::::.i´



                ____
               /      \
              /        \     1975年っつーと、第2次ベビーブームの終わりあたりかお。
            /) ノ '  ヽ、       \
          / .イ(ー) (ー) u     |    こういう学習向けの機械が必要になる層の人口はまだまだ増えてくから、
          /,'才.ミ) (__人__)       /
         .| ≧シ' ` ⌒´        <     個人向けだけでもいけそうって思ったんかお。
        /  /                ヽ



       / ̄ ̄\
      /   _ノ  \      さて、何度か話に出している中松氏の初の著書「三倍の人生」は、1977年、
      |    (⌒ )(⌒)
      |     (__人__)     つまり学研ナカビゾンの発売から程なく発行されており、しかも出版元が
       |     ` ⌒´ノ
      |         }      当の学習研究社だろ。このためか、ナカビゾンの波乱万丈の開発物語に
      ヽ     ヘミ|
      /,` 、` -`,--` ,    かなりのページを割いている。もっともそのわりに、最初のナカビソーンの特許が
__,---/;;;;;`  `-,-/ニニ |
;;;;::::、:::::::::|、_ ,>、 /::l,_l・ ,<、__  3年で消滅していた件や、コロムビアナカビゾンには、一切触れていないがな。
;;;;;;;;:::|::::::::::<:::::::ヽ``l::::|  |`l,::::ヽ
;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::\|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ



                  ____
                /ノ ヽ、_\
               (●) (● ) \     まさしく黒歴史ってわけだお。
            /⌒(__人__)⌒::::::::\
            |   |r┬-|        |
            \   `ー'´      /
        ⊂⌒ヽ 〉        <´/⌒つ
          \ ヽ           ヽ /
           \_,,ノ|      、_ノ



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     一方、後の目で見てみると、この本には不思議なことに、
     |    ( ー)(ー)
.     |     (__人__)    フロッピーディスクについての記載が一切ない。このため「トンデモ本の世界」では、
      |     ` ⌒´ノ
.      |       nl^l^l   「1977年4月の時点で、ドクター中松はまだフロッピーを知らなかったとしか
.      ヽ      |   ノ
       ヽ    ヽ く     思えない。」と評されているが、これは正しくないだろ。
       /     ヽ \



                .___
             /)/ノ ' ヽ、.\
          ./ .イ '(●)  (●) \     正しくないっていう根拠は、なんかあるんかお。
          /,'才.ミ)  (__人__)    \
          | ≧シ'  ´ ⌒`        |
          .\ ヽ           /



       / ̄ ̄\
      / _ノ  ヽ、_ \     中松氏は、1975年7月に「電算機等用湾曲記録デイスク」の特許を
     .|  ( ●)(<) |
     |  (__人__)  │     出願※している。これは弓なりに曲げた形で装着するフロッピーディスクと
     .|   `⌒ ´   |
      |           |      いったもので、明細書の中に、「本発明はフロッピイデイスク又は
      ヽ       /
       ヽ      /      デイスケットに関するものであって」とはっきり書いてあるだろ。
        〉-r:::┬〈、
       /Λ 〉.:〈 7//\    ※特願S50-85323
      ////V::::::V/////\
     ./////∧::://///////}
    /////// ∨/////////{



                  ._ _ _ コン☆
                 (ヽl_l_ll_l,l
                // ̄ ̄ ̄\
           //  ノ   ⌒   \     それはどう見ても、疑いようがないお。
          //  (>) (●)  \
            | .l    //(__人__)//    l   そしたら、その後に出した本なのに、どうして
          \\     ` U ´     /
            ヽ ヽ          \   フロッピーディスクのことが書いてないんだお。



       / ̄ ̄\
      /   _,.ノ `⌒            あくまで推測の域を出ないものになってしまうが、
      |    ( ●)(●)
      .|    (___人__)            1977年の段階では、一般の読者にはまだフロッピーディスクが
      |        ノ
      |        |_,-‐、  / ⌒)   さほど広くは知られていないとみた可能性が考えられるだろ。
      .人、      厂丶,丶,丶´ / ̄
   _,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ    __ノ
- ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::(    <"ニ‐-、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r  /⌒ヽ::::::: )
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',:::::|
;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 〈 ::::::::::::::... ',::.
;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\:::::::::::::::;;;ハ ::::::::::::::::::.. ',



                 ____
               /⌒三 ⌒\
             /( ○)三(○)\     あんまり一般になじみがないものを書いても、
            /::::::⌒(__人__)⌒:::::\
            |     |r┬-|     |    ナカビゾンの宣伝には役立たないって考えたんかお。
            \      `ー'´     /



       / ̄ ̄\
      /ノ  ヽ、_  \     そして興味深いのは、1982年発行の日本機械学会誌に掲載された
.     ( ●)( ●)   |
     |(人__)       |     「シート記録再生システム「ナカビゾン」開発記」だろ。これは実は、
      | ⌒ ´      |
.      |        |     先の「三倍の人生」からのほとんど抜き書きのような文面になっている。
.      ヽ      /
       ヽ     /       もっとも論文ではなく、エッセイとして寄稿されたものではあるがな。
       ,t:.ヤ、..::::<
        |i::レ´::::::::.|
        i´.:::::::::::::::|



               ____
             / ⌒    \
             ) (● )     \     それにしても、そういうのが載っちゃうのは、
           (__人__) ⌒:::    ヽ
            ||、‐┬|        |    なかなかのどかな感じだお。
             ヽ‐ー’       /



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     しかしよく見てみると、ナカビゾン開発記のほうには、「ナカビゾンのあとから
     |    ( ⌒)(⌒)
.     |     (__人__)    IBMで開発されたディスケットは、ナカビゾンとほぼ同じ技術思想である。」と、
      |      ` ⌒´ノ
.     ,|         }     「三倍の人生」にない文章が挿入されているだろ。IBMのフロッピーディスクと
     / ヽ       }
   く  く ヽ     ノ      ナカビゾンの関連性について中松氏が直接触れた文章としては、
     \ `'     く
      ヽ、      |       これはかなり早いもののひとつと言えそうだ。
.       |       |



                ____
              /      \
             / ヽ、   _ノ \        あれ? なんか、いやに回りくどい書き方じゃないかお。
           /   (●)  (●)   \ n
           |  U   (__人__)    l^l.| | /)   IBMは自分の特許を使ってるとか、そういうことを
           \    |i||||||i|   /| U レ'//)
          γ⌒    ` ー'´    ノ    /  ズバッと書くのが中松さんっぽい気がしてたんだけど、違うんかお。
           i  j         rニ     ノ
           ヽ、 l           !ヽ、_,__/



        /) ̄ ̄\
      /∠___ ヽ、,_ \            うーん。そのあたりは、中松氏の発言内容がどんどん変わっているようなので、
     / / ,-イ)(= )!!! |
     l / /(__人___)   |            深入りするのはやめておくだろ。参考になりそうな話をふたつ挙げるなら、
     l   ', `⌒ ´  u |
     ',    ',      |            IBMのフロッピーディスクの米国特許は、1973年には日本でも公告特許広報に
      j    ノ      /|_
    _∠⌒ヽ j, _、___ ィ/::\__         掲載され※、その後特許登録されていることと、IBMは1990年の新聞記事で、
___/ ...:::::::::::ヽV ̄ ̄ ̄:::::::::::::::::...´´''' 、、、 _
/ ...:::::::::::::::::::: 〉::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... :::::..\ 中松氏との許諾契約にフロッピーディスクは含まれないと述べていることだな。
...:::::::::::::::::::::::: /;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::: l
                             ※特願S45-94043(米国特許3,668,658)



                ____
              /      \
             /         \     そうだったんかお。
           /            \
           |   _,   /        |    逆に言ったら、このころの中松さんは、こういう微妙な書き方以外に
           \(ー⊂ヽ、∩  u    ノ
             |  | ゝ_ \ /  )    いい説明が思いつかなかったってところなんかお。
             |  |__\  ” /.
             \ ___ \ /



.       / ̄ ̄\
.     / _ノ  .ヽ、\     改めて話をシート式磁気録音機に戻そう。マイティーチャーの事業のピークは
.     |  (●)(●) |
      |  (__人__) .|     1970年代後半とされているが、文部省の1977年の調査でも、シート式磁気録音機の
.      |   ` ⌒´  ノ
      ヽ  ._   .}      公立学校への配備率は小中学校で15%前後というところだっただろ。ただし、
       ヽ_/ } . ノ
       /、 〈  く       5学級以下の小学校、つまり1学年1クラス未満のところに限ると、38.3%と数字が
      ハ ヽ Y`ー.、i
      { ヽ_ゾノ-‐1      跳ね上がる。なお配備済みの小学校では、平均で6.59台が設置されていた。
      `¨´┬' . |



               ___
             /⌒  ⌒ \
            / (○)  (○) \     小さい学校限定でも、4割近くってのはなかなかのもんだお。
          / ///(__人__)///   \
          |    `Y⌒y'´   u.   |
           \    ゛ ー′     ,/
             ト    ー‐      ヽ



       / ̄ ̄\
     /   ヽ_  \         一方学研は、学研ナカビゾンを1978年に「学研ホームラーン」に改称。
     |    (⌒ )(⌒)
.     |     (__人__)        さらにホームラーンを教材に利用する学習教室「ホームラーン教室」を
      | U   ` ⌒´ノ
.      |         |         フランチャイズ展開した。しかし、学研ホームラーンは1982年あたりから、
.      ヽ       |
       ヽ   __ , _ ノ         学研の学習雑誌での広告が見られなくなる。少なくとも個人・家庭向けの
     _,,,, 「:::ー----ー"::i、___
_,,..r''''"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::`''ー-、  販売は、そのころから縮小していったものと考えられるだろ。
::::::r::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ..ヽ
:::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::/}
::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r::::::/::::ハ



                  ___
              /      \
             /ノ  \   u. \     もしかしたら、学習教室を通じての販売みたいのは、
           / (●)  (●)    \
            |   (__人__)    u.   |    その後も少しはあったのかもしれないってとこかお。
            \ u.` ⌒´       /
           ノ            \



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     こうして、シート式磁気録音機では、最初から最後までリコーの絶対優位が
     |   ( ●)(●)
.     |    (__人__)     揺るがなかったわけだろ。個人・家庭向けには公称で累計150万台を出荷。
      |     ` ⌒´ノ
.      |         }     1989年の文部省の調査でも、利用頻度はさておき、公立の小学校では5%ほど、
.      ヽ        }
       ヽ     ノ      同じく中学校では2%強がシート式磁気録音機を保有していた。そのためか、
       .>    <
       |     |       マイティーチャーの事業は、1990年代の半ばまでは細々と続けられていたようだ。
        |     |



                ____
              /     \
             / \   / \     なんだかんだ言っても、一応30年以上続いたわけだお。
           /  (●)i!i!(●)  \
           |  u , (__人__)    |
           \    .`⌒´    〆ヽ
            /          ヾ_ノ
           /rー、           |
          /,ノヾ ,>         | /
          ヽヽ〆|         .|



        / ̄ ̄\
      /    _,.ノ ⌒          ところで、録音機器としてのシート式磁気録音機は、カセットテープの普及によって
      |    ( ー)(ー)
      .|    (___人__)         淘汰されたと考えてまず間違いないわけだが、教育機器としてみた場合には、
       |         ノ
       |        |_,-‐、_ -、    必ずしもそう単純な話ではないことが、学研の参入時期からもわかるだろ。
      .人、      厂丶,丶 v 〉
    _,/::::ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ    __ノ     それが1980年代に入って、存在感を失っていった理由として、新顔の
― ''"...:::::::::\::::::::::::::::::::(    〔"ニ‐-、
、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r  /⌒ヽ:::::: )   教育機器の台頭を無視するわけにはいかない。その機器とは……
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/..... ̄ ',::::|
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::... ',::i
!::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::ハ ::::::::::::::::::. ',



               ____
              /⌒  ⌒\
          (ヽ /( ●)  (●)\   /)     そりゃ当然、パソコンだお。
         (((i ):::::: ⌒(__人__)⌒::::\ ( i)))
        /∠ |     |r┬-|    |_ゝ\
        (___     `ー'´   ____ )
             |        /
             |       /
               |   r  /
             ヽ  ヽ/
              >__ノ;:::......



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     そのとおりだ。シート式磁気録音機の活用が教育界で広く試みられたのは、
     |    ( ●)(●)
     |     (__人__)     個別ペース、ステップの細分化、解答の即時確認などを特徴とする
     |         ノ
     |     ∩ノ ⊃ }     「プログラム学習」と呼ばれる手法の実践に適していると考えられたからだろ。
     /ヽ   / _ノ }
    ( ヽ  /  / ノ      これを大型コンピューターで行う試みも、1960年代にはすでにみられた。
     ヽ “  /_|  |
      \__/__ /





              ____
             /         \
   < ` ヽ 、    /  ―   ―  \     パソコンの値段が下がって、マイティーチャーとかに取って代われるように
   /`ヽ、  ` ヽ、    (●)  (●)    \
 /    `ヽ、/ i     (__人__)    |   なったのが、ちょうど1980年代に入ったあたりってわけだお。
. |`ヽ、    / i  i、    ` ⌒´    /
 ヽ  `ヽ/   i  i ヽ、         |
. l `ヽ、 i      i  i#`ヽ<⌒ヽ、/ .ノ.|
.. l    .`i      i  i####>`ゞ_、_,,/ .|
  `ヽ、  i      i/ヽ//:::::::::`ヽ、  |



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     この話の本編でも、教育方面とホビーパソコンのかかわりについては
     |    ( ー)(●)
     |     (__人__)     何度か触れたし、他にファミコン向けの教育用ソフトやファミコンを利用した
.     |     ` ⌒´ノ
.      |         }     教育機器などもあったが、それらはこういった流れの延長線上にあるわけだろ。
.      ヽ        }
       ヽ、.,__ __ノ     もっともテレビゲームの流行によって、子供たちはつまらない教育用ソフトには
      /      \
     /          \   目もくれない、あるいはすぐ飽きるなどといった問題も顕在化したわけだがな。
   . /  /___rっ=―=c、
    ヽ_____ア__弋_)



                ____
              /     \
            /_ノ  ヽ、_   \     ゲームっぽいものに対する目が肥えたわけだお。
           /(●)三(●))   .\
           |   (__人__)   U  |    子供って、そういうところには容赦ないお。
           \ ヽ|r┬-| /   /
           /   `ー'´      \



        __
       /ノ ヽ\
     /.(○)(○)\     また、もともと大人数での一斉授業の問題点への対策として生まれたはずの
     |. u. (__人__) |
.     |        |     プログラム学習だが、こういった機器に頼りすぎると、児童・生徒間や教師との
      |        |
.      ヽ      ノ      コミュニケーション不足を生むのではないかという懸念は根強かっただろ。
       ヽ     /
       /    ヽ      この後、パソコンを使った学校教育は、こういった懸念や、パソコン自体の進化の
       |     |
        |    .   |      流れを受けて、創造力やコミュニケーション力を培う方向にシフトしていくわけだ。



               ____
              /      \
             / ⌒  ⌒   \     1960年代とか1970年代から見た「未来の教室」っぽいのが
           /  (ー) (ー) /^ヽ
          |   (__人__)( /   〉|    そのまんまでは実現しなかったのは、そういうあたりの事情もあるわけかお。
          \   ` ⌒´  〈 / ⌒^ヽ
        ―――――――― \ _ _ _ )



       / ̄ ̄\
     /   _ノ  \     ま、ともかく教育機器の世界はあまりに奥が深く、ちょっとやそっとでは
      |   ( ●)(●)
      |    (_人__)     とても調べきれるものではないので、今回はこのへんにしておくとするだろ。
      |      ` ⌒´ノ
      |           i      中の人の事情が許せば、また、お会いしよう。
.     >         ノ
    /´⌒` ̄  ̄¨ ` <
     |       _゙_.、   \
    ヽ, イ´ ̄ /  ヽて   〉
      l     /  r   ヽ彡'
      ヽ   /   ヽ   ヽ         j ⌒l
     ,ィヽ      / Y   ゝ-、 ──´  │
  r_-ィ__ノ_ヽ、__ノ__「___ノ______」



      / ̄ ̄\
    /   _ノ  ヽ   .____
    |   ( ⌒)(⌒)/⌒  ⌒\      それじゃ、またの機会までバイバイだお!
.    |     (__人__) .(●) ( ●)\
     |     ` ⌒ノ ⌒(__人__)⌒:::::\
.     ヽ       } .   |r┬-|    . |
      .ゝ_,.   ノ____`ー'´___./
    -(___.)-(__)___.)─(___)─


     やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史

              番外編

        「シート式磁気録音機と

          ドクター中松の誕生」     おわり



《本稿の主な参考文献》(順不同、敬称略)

●新聞・雑誌(本編45話で主な参考文献として挙げているものは省略)

 「科学朝日」(朝日新聞社)
 「週刊新潮」(新潮社)
 「経済知識」(新経済知識社)
 「2年のかがく」「4年の学習」(学習研究社)
 「蔵前工業会誌」(蔵前工業会)
 「電気化学」(電気化学会)
 「日本印刷学会論文集」(日本印刷学会)
 「日本機械学会誌」(日本機械学会)

●書籍

 キヤノン株式会社「キヤノン史 技術と製品の50年」(キヤノン)
 TDK株式会社社史編纂室「TDK60年史 夢・勇気・信頼」(TDK)
 リコー社史編集委員会「IPSへの道 リコー60年技術史」(リコー)
 コロムビア五十年史編集委員会「コロムビア五十年史1910-1960」(日本コロムビア)
 学習研究社50年史編纂委員会「学習研究社50年史 昭和21年-平成8年」(学習研究社)
 中松義郎「三倍の人生」(学習研究社)
 串間努「まぼろし小学校」(小学館)
 萼優美「実例本位特許・商標の法律知識」(東洋書館)
 西本三十二、波多野完治「新版視聴覚教育事典」(明治図書出版)
 文部省社会教育局視聴覚教育課「昭和53年度視聴覚教育行政資料」(文部省社会教育局視聴覚教育課)
 文部省生涯学習局学習情報課「学校及び社会教育施設における視聴覚教育設備等の状況調査報告書 平成元年度」
  (文部省生涯学習局学習情報課)
 神奈川県教育庁指導部社会教育課「かながわ社会教育 '66 NO.2」(神奈川県教育庁指導部社会教育課)

●ウェブページ

 発明のえらいひと(目次)
 Reports on "Dr. Nakamatsu"/「ドクター中松」研究報告

※当初、中松氏のインタビューを掲載した雑誌「経済知識」の号を、
 資料から転記する際の確認ミスにより「1958年3月号」としていたため、訂正しました。
 (2015/11/30追記)

|

« やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「“パーソナルコンピューター”の夜明け」 | トップページ | やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「移植の『い』」 »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

レトロPC」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/592845/62626705

この記事へのトラックバック一覧です: やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「シート式磁気録音機とドクター中松の誕生」:

« やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「“パーソナルコンピューター”の夜明け」 | トップページ | やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 番外編 「移植の『い』」 »