やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 第26話
|┃三 / ̄ ̄\
|┃三 / \,_. \ 26回目だな。
|┃ (●)(● ) |
|┃ (__人__) | 1989年、昭和64年は1週間で終わりを告げ、平成へと改元された。
ガラッ .|┃ ヽ`⌒ ´ |
|┃ { |
|┃三 { /
|┃ ヽ /
|┃ . ン ヽ
|┃三 / |
|┃(⌒二_/| . |
____
/ ⌒ \
/ ( ●) ) 2014年はそれから25年、四半世紀かお。
/ :::⌒ (__)
| |┬、| もうすっかり、昭和は遠くなりにけり、だお。
\ `ーノ
|
/ ̄ ̄\
/ _ノ \. さてこの頃、マニアックなパソコンユーザーばかりでなく、
| ( ●)(●)
. | ::::::⌒(__人__) もっぱらビジネスソフトを使う程度のユーザーの間でも
| ` ⌒´ノ
. | }. 。 話題に上るようになってきたのが、MS-DOSで1メガバイトを超える
. ヽ } /
ヽ ノ ./ RAMを利用するためのメモリー拡張方法のひとつ、「EMS」だろ。
/ lヽ介/lヽ、 ,rE)
. | | ~ヾ/~ |. ソ◇'
| | ゚| |\/____E[]ヨ__________
_ | | ゚| |__
|\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
|\\ ⌒ ⌒ 甘 \
| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
____
/ \
─ ─ \ そういえば、キューハチでもRAとかは1メガバイト以上のRAMが
(●) ( ●) \
| (_人__) | 載るようになってきたけど、MS-DOSではなんか問題があったんかお。
\` ⌒´ /
/ ー‐ ヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_ \ そもそもPC-DOSとMS-DOSは、8086とその廉価版の8088のための
| (●) (●) |
| (__人__) | OSなわけだが、8086がアクセスできるメモリーは最大1メガバイトだった。
| `⌒´ |
| } そういったことから、IBM PCでは、640キロバイトがこれらのDOSで通常
ヽ .}
__,_,,.ヽ_ ノー- 、 扱えるRAMの上限だったし、PC-9800シリーズでも、ハイレゾモードでは
ハ / V又イ ::::〉::::::i:
} ヽ 〈 l |;;|ノ /::::::::::i -,,_ 768キロバイト、ノーマルモードでは640キロバイトの制約があっただろ。
r iY'ノ.;; }::ヽ l|;;| /::::i::::::::}‐ | ||
.|| | ノ:::: }:::::::\|;;;レ'ー'' ⌒.:::: ヽ | ||
.|| | {,,;;;; .:::: ヽー---ケト、, へ、:::: | ||
―──.::::::::::::ノ.:::/ / 彡}――─────
" ̄`゙゙ ''ー-、'ー----'
____
r、/ ⌒ ⌒ \
|.l1 (● ) (● )ヽ ハイレゾモードの話はややこしくなるから、
.|^ ) (__人__) |
.ノ ソ、_ ヽノ _/ ̄`! ノーマルな話でお願いするお。
/ イ イ7 _/
{__/\ ヽ {
/ ̄ ̄\
/ ヽ_ \ EMSが広まる前には、PC-9800シリーズでは、RAMの増設を128キロバイト単位で
| (⌒ )(⌒)
. | (__人__) 行う仕様だったのを逆手にとって、512キロバイトから640キロバイトまでに相当する
| ` ⌒´ノ
. | } 128キロバイトをバンク切り替えする方法がよく使われた。このためNECも、
. ヽ }
ヽ ノ 初めから640キロバイトのRAMを標準で搭載した本体でも、128キロバイト分を
_,,,,ノ|、 ̄//// \、
_,,..r''''"/ | \`'/ / |  ̄`''ー-、 無効にできるような設定をわざわざ作っておいたほどだろ。
/ | /\ / / / ヽ
. | > |/)::::/\/ \ ノ /}
. | { | ,r":::ヽ / / / // ハ
____
/ \ 人
/ \ て キューハチで最初からRAMが640キロバイト載るようになったのは、
/ \ _/ \
| (●) (●) | 第20話で紹介したVX2とVM21だから、1986年秋からかお。
. \ (__人__) u. /
/ `⌒ ´ \ それ以前から、RAMをバンク切り替えでたくさん
彡三三ミY彡三三ミ\--、 |
\ \\ \E | ノ 使おうとしてた人はいたわけだお。
__
/ _ノ\
/ (一) このタイプの拡張RAMを大々的に広めたのがI・Oデータ機器で、制御方法の
| (__人)
| l 公開やソフト企業への働きかけもあって、同社の制御方法「I・Oバンク方式」が
. | |
. ヽ ノ デファクトスタンダードとなっただろ。しかしこの方式に対応するソフトでも、
ヽ /
/ ヽ バンクメモリー部分にはプログラムを配置することができないという問題が
| |
|. | かなり長く付いて回り、ソフトの規模の増大に対応しきれなくなってきた。
____
/ \
/_、 ,,/" \ RAMを512キロバイトに減らして使ってるわけだから、
/ (●) ゙(●) U \
| (__人__) | そこがハンデになるってことかお。
\ ⊂ ヽ∩ <
| | '、_ \ / )
| |__\ “ /
\ ___\_/
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ これに対してIBM PCの世界で広まっていたのが、アメリカのロータスと、
| ( ●)(●)
| (__人__) インテル、マイクロソフトが提唱したEMSだろ。ロータスの表計算ソフト
| ` ⌒´ノ
. | } 「ロータス1-2-3」は、高い性能で評判を呼びマイクロソフトの「マルチプラン」を
. ヽ }
ヽ (\ ノ、 追い落としたが、RAMを多く必要としており、EMSは、640キロバイトまでの
/ \\く} j
| 〈 ̄ ゙ヽ ヽ RAMではない部分に切り替え用の領域を設けられる仕様だった。
| .に }
| (___,ノ
____
/ \
/ ⌒ ⌒ \ さすがに抜かりないお。
/ (⌒) (⌒) \l⌒l
| (__人__) |`''|
\ ` ⌒´ _/ /
/
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ 日本でも、ロータス1-2-3のPC-9800シリーズ用が1986年に登場以降、
| ( ●) (●)
.| (___人__) 瞬く間に表計算ソフトのスタンダードに上りつめ、EMSの需要が増大した。
| ノ
.| | 当初は、I・Oバンク方式のRAMボードでEMSをエミュレートするドライバーが
人 丿
/⌒ \ __ _ / 利用されたりもしたが、1988年になると、メルコがEMSにハードウェアで
/ \
./ 人 ./ ヽ 対応するRAMボードを発表して、その高速性を大きくアピールしただろ。
〈 < / \ \
____
/⌒ ⌒\
/(⌒) (⌒) \ EMSで、I・Oデータに先手を打とうってわけだお。
/ ::⌒(__人__)⌒::: \
| |::::::| ,---、
\ `ー' しE |
/ l、E ノ
/ | |
( 丶- 、 ヽ_/
`ー、_ノ
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ´ ⌒ また、当初は1989年早々の発売を予定していた「一太郎」の最新版
. | ( ●) (●)
| (___人__) 「一太郎バージョン4」も、新しく開発した独自のウィンドウ表示システム
.| ノ
j | 「ジャストウインドウ」を利用するために、RAMの使用量が大きくかさむ
..ノヽ、 , ノ _
、一一´:::::::::::::≧ーー"7 i' Y 見込みとなっていた。このためPC-9800シリーズには、ジャストシステム自身が
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、 i l _
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、 | lフ ト、 EMS対応RAMボードを発売することを発表していただろ。
:::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i/ ,.イ 丿
:::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ィ
:::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ィ
:: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 `チ
___
/ \
/ \ AXとかのキューハチ以外の機種への対応を考えたら、
/ \ , , / \
| (ー) (ー) | EMSを使うほうが都合がいいってとこかお。
\ (__人__) ,/
ノ ` ⌒ ´ \
._i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ
( l l l l l
ヽ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ I・Oデータ機器もこの流れに逆らうことはできず、1989年に入って間もなく、
| ( ●)(●)
. | (__人__) PC-9800シリーズ用RAMボードでも、自社形式に加えEMSに対応した
| ` ⌒´ノ
.l^l^ln } 新製品を発表することになる。こういったメモリー増設を巡る
.ヽ L }
ゝ ノ ノ 周辺機器メーカーやソフトメーカーの攻防は、その市場のうまみゆえに、
/ / \
/ / \ この後ますます激しくなってゆくだろ。それじゃ、始めるとしよう。
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
────────────────────────────────────────
/ ̄ ̄\
/ ─ ─\ やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
| (●)(●)|
____. .| (__人__) | 第26話
/ \ ` ⌒´ ノ
/ ─ ─\ .} 「ジェットが町にやってくる」
/ (●) (●) \ }
| (__人__) | ノ.ヽ
/ ∩ノ ⊃ /∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |/ _ノ | |
.\ “ /__| | /__| |
\ /___ //___ /
────────────────────────────────────────
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \ さてこの1989年早々、エプソンが前年10月に発表していた
(⊃ ( ●)(●)
| (__人__) 「PC-386」の出荷が始まっている。同社PCシリーズ初の32ビットCPU採用機で、
| ` ⌒´ノ
. | }::\ 5インチフロッピーディスクドライブ2台のみ内蔵の「PC-386-STD」が598,000円。
/ヽ }:::::::\
/:::::::::ヽ、____ノ::::::::::::::) 20メガバイトのハードディスク内蔵の「PC-386-H20」と40メガバイトタイプを
/::::::::::::::::.ヘ.:.ヤ、:::>7|:::_::/
|:::::::::::::::::::::::::::ゞ/ ̄ ̄(_) 内蔵する「PC-386-H40」が、それぞれ723,000円と813,000円だっただろ。
\:::::::::::\ /| JJJ (
\:::::::/:::::ヾ 、/⊂_)
●PC-386-STD、-H20、-H40
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃80386-20 20MHzまたは10MHzまたは5MHz ┃
┃補助演算装置┃インテル 80387(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃96KB(BASIC、モニター等)+8KB(CG-ROM) ┃
┃ ┃ +α(漢字ROM、JIS第一水準・第二水準) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃1.6MB(最大13.6MB)+12KB(V-RAM)+256KB(グラフィックV-RAM) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示(文字) ..┃80、40文字×25、20行・8色・2画面 ┃
┃ (グラフィック) ┃640×400ドット・4,096色中16色・2画面(またはモノクロ・8画面) ┃
┃ ┃または640×200ドット・4,096色中16色・4画面(またはモノクロ・16画面) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃矩形波(周波数変更可能、BASICでの音楽演奏は不可) .┃
┃ ┃FM音源3音(8オクターブ)+矩形波3音(8オクターブ)+ノイズ1音※オプション ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、2台内蔵) ┃
┃ ┃ ※内蔵ドライブは両面倍密度倍トラックタイプのディスクの読み書き可能 .┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(-H20は20MB内蔵、-H40は40MB内蔵) .┃
┃ ┃3.5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、オプション) .┃
┃ ┃8インチフロッピーディスクドライブ(両面倍密度、オプション) ┃
┃ ┃CD-ROMドライブ(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格 ┃598,000円、723,000円、813,000円(STD、H20、H40) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
____
/ \
/⌒ ⌒ \ キューハチのRAよりも高いんかお。
/( ・ ) ( ・ ) \
| (__ |
\ _l /
/ ー \
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ その代わりPC-386は、80386の動作クロックが20メガヘルツだった。
| ( ●)(●)
. | (__人__) そのぶん、PC-9801RAを上回る高速処理を売りとしたわけだろ。
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ mm
/  ̄ ̄ ̄ つノ
| | ̄ ̄ ̄
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\ そういやキューハチRA対抗は、
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |++++| 」_ キラッ | 16メガヘルツで動く80286を使ったPC-286Xだったかお。
\ `ー''´ l /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ うむ。エプソンは2月、そのPC-286Xからマスメモリースロットなどを除いて
| ( 一)(●)
| (__人__) 低価格化した「PC-286VS」を発表しただろ。5インチフロッピーディスクドライブ
| `⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃ 2台のみ内蔵の「PC-286VS-STD」が388,000円、20メガバイトのハードディスク
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉 内蔵の「PC-286VS-H20」と40メガバイトタイプを内蔵する「PC-286VS-H40」が、
,-/ __人〉
/ ./. / \ それぞれ513,000円と603,000円だった。
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
●PC-286VS-STD、VS-H20、VS-H40
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃AMD Am80286-16(80286互換) 16MHzまたは10MHzまたは6MHz .┃
┃補助演算装置┃インテル 80287(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃96KB(BASIC、モニター等)+8KB(CG-ROM) ┃
┃ ┃ +α(漢字ROM、JIS第一水準・第二水準) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃640KB(最大12.6MB)+12KB(V-RAM)+256KB(グラフィックV-RAM) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示(文字) ..┃80、40文字×25、20行・8色・2画面 ┃
┃ (グラフィック) ┃640×400ドット・4,096色中16色・2画面(またはモノクロ・8画面) ┃
┃ ┃または640×200ドット・4,096色中16色・4画面(またはモノクロ・16画面) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃矩形波(周波数変更可能、BASICでの音楽演奏は不可) .┃
┃ ┃FM音源3音(8オクターブ)+矩形波3音(8オクターブ)+ノイズ1音※オプション ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、2台内蔵) ┃
┃ ┃ ※内蔵ドライブは両面倍密度倍トラックタイプのディスクの読み書き可能 .┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(VS-H20は20MB内蔵、VS-H40は40MB内蔵) ┃
┃ ┃3.5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、オプション) .┃
┃ ┃8インチフロッピーディスクドライブ(両面倍密度、オプション) ┃
┃ ┃CD-ROMドライブ(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格 ┃388,000円、513,000円、603,000円(STD、H20、H40) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
(( (ヽ三/) (ヽ三/) ))
(((i ) ___( i)))
/ /⌒ ⌒\ \
( /( ●) (●)\ ) PC-286Xからは5万円引き、
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| | キューハチRAと比べると10万円以上安いってわけかお。
\ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ、\ ラップトップの新機種投入も積極的に行った結果、NECが1988年度に
| (●)(●) .|
. | (__人__) | PC-9800シリーズを約60万台出荷する中で、エプソンのPCシリーズも
∧ .| ` ⌒´ ノ
/\ヽヽ } 15万台以上を出荷し、業界3位のシェアを占めるところまで伸びてきただろ。
,r―''''''ヽ, ヽ ノヾ、
,r‐' ,、;-‐''''""''ヾ、、, く l それじゃ、先に進もう。
/ ./ r''"ヽ, \, l`ヽ、
j l ,. / ' l ヽ、 ト, ヽ
,.Lj∠、'´ , i, / `ヾ、`'ヽゝ
l, / 二'''" ,;、, `''ー゙--、
/゙ヽ-ッ-‐'´ ./`ト-:rイ「´ ゙l;:`''ト-、,_ ノ'i,
/ / ,;∠∠,ノ´ イ l l, ├''| |、,/ l |
|
_ 人 _
`Y´
|
1989年3月、東京・晴海──
/ ./
/ /
‐-、_ / ./
 ̄"''ー-、_ / /
__  ̄`ー 、 / /
__`―----、_━  ̄"'ー- 、______________/ ./
[二] ̄゛ ̄`―‐ニニニニ==―--、_━ `ー‐ ┌―――――――┐||||/__
(ニ) (ニ) ̄ ̄  ̄| ̄llll||||| |||||||| |
「 T~| | |||||||| |||||f¨゙!......|
:┐ n /〉 .| | |__|_|||||||└..<ヽ..―――――┘| /^〉'____|_
! .―――――}”/ ̄ ̄ ̄| |,-|. ~~~二,、二<`ヽ二二二二二 /:::/.,、
⌒!ィ f¨゚{ <´ 'ヽ Vハ |ヽ Y¨! |::::}イ { , -ー 、 _ /¨> r-‐,、 <⌒!
::〈人_r-ー- 、_r<}| >:::: ̄:`ヽ__, - 、__r 、r=¨>‐-! /:::::}__Vヘ }:::|__}::::{.ィ1.|:.:.:.:.:.:.}_, くノ ̄! ./;;;;;;;;;}_, ヘ⌒',
/:.< /::::::::::::::::Y::/|i /::::::::::::::::::::::Y:.:.:.:.:.YVイ!:::::}::::::::|/::::::/:ァ<! V_::| ',く/⌒!}:.:.:.:.:ノ/ /:/^V__〈ヽ;;;;;/_!__ノ::::::ヽ
:.:.:.:}|:::::::::::::::::::|:{:. }:!:::::::::::::::::::::::: l:.:.:.:.:.:.|ィ ゝx}:::::: |::::::/:.:/ / > ¨⌒ヽ:'. V¨¨ヒ{_. V==<:::::`ヾア´:f⌒!ヽ:::::}
\f':!::::::::::::::::::lハ:.:リ'.:::::::::::::::::::::::∧:.:.:.:./ >イ::! :::: |:::::{Y/' 〈 /:::::::::::::::::}:' V::::::::::{ .} .}::::::::::|:.:.:.:.|:.:.:|:.:.}-:'
ヾ!,、:::::::::__/_/ ヽ::::::::::::::::/|レVWハ/::::::::/:::::: |::::::|ハ V!::::::::::::::::::!:/ ./:::::::;:::Y /^!:::::::{:ト、: |:.:.:|:./:::::
`Y゚ ̄ _/VレvイW:::::`ー-::__/:::::::::/:::::::| ヽ `!:::::i:::::::::::|' /:::::::/L_|  ̄⌒¨}>ヘ}:.:.:|”::::::::
、 f´ ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::| ヽ .|:::::l::::i::::::| /:::::::::| >- ._ }} |:.: |ヽ:::::::
, 、、 ,,
, ' ____ " 、、
, ' /⌒三 ⌒\ ',
; /( @)三(@)\ ; す、すごい熱気と人ごみだお!
; /::::::⌒(__人__)⌒:::::\ ;
| u |r┬-| u | ; こりゃいったい、何が起きてるんだお?
\ u `,. -'"´´ ̄`ヽ ;
_ / (___ | ',
,、' / | ;
、 ( ̄ | ;
 ̄ ̄ ̄| | ;
, -―- 、
/ \ 前にも一度来た、晴海の東京国際見本市会場だろ。
/ \_ |
(●) (●) | 今日は、35回目を迎えたコミックマーケットが開かれているところだ。
(_人__) /
l`⌒´ /
| ヽ
__!、____/ \
/、 ヽ r 、 ヽ
ハ ヽ Y`l | > Y
{ ヽ_ゾノ | レi i i}
`¨´ ヽ ハ `'''
> / ヘ
/ /ヽ ヘ
_,/ / ご_ノ モキュモキュ
( ヽ /
\__ノ
_____
/ \
/ ⌒ ⌒ \ コミケって、夏と冬だけじゃなかったんかお?
/ ( ●) (● ) \
| (__人__) |
\ 凵 /
/ \
/ ̄ ̄ \ -、_
_,ノ ヽ、__ / / ,〉、 1983年までは、春、夏、冬に開かれていただろ。
(=)(= )/ ´/ /)
(__人_) { , ' ´,/ 今回は、会場の都合で1988年末に開催できなかった
'、`⌒ ´ V __, <´
| 〈´/::::Λ 代わりという位置づけだった。
| ヤ::::::::::::::Λ
`ュ`ー─ー V::::::::::::::Λ
/ム _ , -./V::::::::::::::Λ、
_,. -/:/:::ハ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vヘ
//./.:::/:::l y .::::::/::::i::::::::::::::::::.∨}
j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::i::::::::::::::::::::レ;
i :::r :〈 ::::i::::::::レ .::::::::::::::::::::〉、:::::::::::::::::ノ
____ _____
/ \/ \ ‐-、
、-‐ /⌒ ⌒ ⌒ ⌒\ ___,ノ-、 お、あそこはラップトップのパソコンで同人ソフトを
、- !、,__/(● ) (● ) 彡 ( ●) ( ●)ヽ ___,ノ
!、,___ l (__人__) (__人__) | デモってるっぽいお。このあたりはみんな
\ `⌒ ´ 彡 ⌒´ /
/ ヽ 同人ソフトのサークルかお。
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ、.\ 今回の参加全8,900サークル中、約200が同人ソフトのサークルだろ。
| (●)(●) |
/ ̄ ̄ ̄ 丶人__). | ここ1年ほどで、同人ソフトへの注目度はますます高まってきたが、
/ \ ._|_____
, --'、 / `〉 そのきっかけのひとつが、1988年6月の「テクノポリス」の誌面刷新だ。
/ ⌒ ) / /
,′ ノ / / このとき前面に押し出されたのが、「美少女ソフト」と「同人ソフト」で、
l T´ .._ ./ r'´ ̄ヽ
ヽ ノ ./丶、 / (  ̄ l それぞれ、多くのページを割いた専門のコーナーが毎号設けられた。
`'ー'´ | .`'ー'――┬― --、/ _.ノ
____
/⌒ ⌒\
/( >) (<)\ どっちも、紹介できるソフトが毎月それなりにあるってことなわけだお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| /| | | | | |
\ (、`ー―'´, /
 ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄\
⌒´ ヽ、,_ \ ちょうどその翌月、同人ソフト専門の即売会イベント「パソケット」が
(●)(●.) |
(_人___) | 初開催され、直後の夏のコミックマーケットとともに、テクノポリス誌面や、
'、 │
} { 辰巳出版のパソコンゲーム雑誌「アソコン」が増刊として発売した
!、______ .ィ-ート、
V/:::::::::::::::::ヽ 「同人ソフト大全集」などで取り上げられただろ。これらの影響から、
{::::::::::::::::::::::::::::::.、
/ー-:::::::::::::::::::::::::::::::, 同人ソフトの需要も、参入するサークルも増大したわけだ。
「r'、 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い、{ Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
\ ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
\ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
,r=ヽ、 r';;;:;:;;:::;;;;;;;;;;;;ヽ、
j。 。゙L゙i rニ二`ヽ. Y",,..、ーt;;;;;;;;;;;)
r-=、 l≦ ノ6)_ l_,.、ヾ;r、゙t lヲ '・= )rテ-┴- 、
`゙ゝヽ、`ー! ノ::::::`ヽ、 L、゚゙ tノ`ゾ`ー ゙iー' ,r"彡彡三ミミ`ヽ.
にー `ヾヽ'":::::::::::: ィ"^゙iフ _,,ノ , ゙tフ ゙ゞ''"´ ゙ifrミソヘ,
,.、 `~iヽ、. `~`''"´ ゙t (,, ̄, frノ ゝ-‐,i ,,.,...、 ヾミく::::::l
ゝヽ、__l::::ヽ`iー- '''"´゙i, ヽ ヽ,/ / lヲ ェ。、 〉:,r-、::リ
W..,,」:::::::::,->ヽi''"´::::ノ-ゝ ヽ、_ノー‐テ-/ i / ,, 、 '"fっ)ノ::l
 ̄r==ミ__ィ'{-‐ニ二...,-ゝ、'″ /,/`ヽl : :`i- 、ヽ ,.:゙''" )'^`''ー- :、
lミ、 / f´ r''/'´ミ)ゝ^),ノ>''" ,:イ`i /i、ヺi .:" ,,. /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙
! ヾ .il l l;;;ト、つノ,ノ / /:ト-"ノ゙i ,,.:ィ'" /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
. l ハ. l l;;;;i _,,.:イ / / ,レ''";;;;`゙゙" ヽ_,,ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
人 ヾニ゙i ヽ.l yt,;ヽ ゙v'′ ,:ィ" /;;;;;;;;;;;;;;r-'"´`i,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
r'"::::ゝ、_ノ ゙i_,/ l ヽ ゙':く´ _,,.〃_;;;;;;;;;;;;f´' ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
` ̄´ / l ヽ ヾ"/ `゙''ーハ. l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/ l ゙t `' /^t;\ ,,.ゝ;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;
____
/ \
/ ─ ─\ あっちの壁際もにぎやかだと思ったら、
/ (●) (●) \
| (__人__) | パソコンがずらっと並んでるっぽいお。
/ ∩ノ ⊃ // ∩ノ ⊃
( \ / _ノ \/ _ノ ありゃあ同人ソフトのサークルとは違うんじゃないかお。
.\ “ / . \ “ /
\ / /\/
\ \
\ \ \
> > >
/ / /
/ ̄ ̄\
/_ノ `⌒ \ うむ。このコミックマーケット35には富士通が企業として参加し、この3月に
_ .| (● ) (⌒ ) .|
| ! | (__人___) | 発売したばかりの「ハイパーメディアパソコン」こと「FMタウンズ」を展示した。
| ! | ` ⌒ ´ .|
| ! ,.-,| | 1メガバイトのRAMと3.5インチフロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブを
._,ノ ┴、/ ,/ .| /
.r `二ヽ ) i ヽ / 1台ずつ標準搭載した「モデル1」が338,000円。RAMを2メガバイト、
.| ー、〉 / 〉 <
.| r_,j j / ̄ '' ̄ ⌒ヽ フロッピーディスクドライブを2台にした「モデル2」が398,000円だっただろ。
.| ) ノ/ { ィ, }
ノ ,/ | |{ |
●FMタウンズモデル1(FMTOWNS-1)、モデル2(FMTOWNS-2)
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃80386-16 16MHz ┃
┃補助演算装置┃インテル 80387(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃256KB(BIOS等)+512KB(OS用ROM) ┃
┃ ┃ +256KB(CG-ROM+漢字ROM、JIS第一水準・第二水準) .┃
┃ ┃ +512KB(辞書ROM)+α(ICメモリーカード) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃2MB(モデル1は1MB、いずれも最大6MB)+512KB(V-RAM) ┃
┃ ┃ +128KB(スプライト用RAM)+64KB(PCM用RAM) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示 ┃720、640、512、320×480ドット ┃
┃ ┃または640×400ドット ┃
┃ ┃または360、320、256×240ドット ┃
┃ ┃または256×256ドット ┃
┃ (グラフィック) ┃仮想画面1,024×512ドット・16,777,216色中256色 ┃
┃ ┃ (または4,096色中16色・2画面) ┃
┃ ┃または仮想画面512×512ドット・32,768色 ┃
┃ ┃または仮想画面512×256ドット・32,768色・2画面 ┃
┃ ┃または仮想画面256×512ドット・32,768色・2画面 ┃
┃ ┃※仮想画面が2画面使用できるモードは異なる2種類を1枚ずつ ┃
┃ ┃ 重ね合わせて使用することも可能(条件あり) ┃
┃ (スプライト) ┃16×16ドット・32,768色、224枚(または32,768色中16色、896枚) .┃
┃ ┃ (秒間60回の書き換え速度で表示可能なのは16×16ドットで200枚前後) ┃
┃ ┃※異なる色数のスプライトの定義を混在させることも可能 ┃
┃ ┃※スプライトは仮想画面256×512ドット・32,768色の画面1枚を占有する .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃FM音源6音(8オクターブ) ┃
┃ ┃PCM音源8音(周波数可変) ┃
┃ ┃CD音声 ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃CD-ROMドライブ(標準速、1台内蔵) ┃
┃ ┃3.5インチフロッピーディスクドライブ ┃
┃ ┃ (両面高密度、モデル1は1台、モデル2は2台内蔵) ┃
┃ ┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、オプション) ┃
┃ ┃ ※3.5インチ・5インチとも両面倍密度倍トラックタイプのディスクの読み書きと┃
┃ ┃ 両面倍密度タイプの読み取り可能 ┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格 ┃338,000円、398,000円(モデル1、モデル2) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
_ _ ___
/ ) ) )/ \ /\
{ ⊂)(●) (●) \ おー! あれがタウンズかお!
| / ///(__人__)/// \
! ! `Y⌒y'´ | CD-ROMドライブの標準装備が売りだったかお。
| l ゙ー ′ ,/
| ヽ ー‐ ィ
| / |
| 〆ヽ/
| ヾ_ノ
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \ タウンズの開発にあたっては、アスキーとコンサルタント契約を結んでおり、
(●)(● ) |
(__人___) | 特にこの価格帯で全モデルにCD-ROMドライブを標準で搭載するという、
| |
| .| 世界でも前例のない構成は、西和彦氏の意向が大きく影響したようだろ。
ヽ 、 ,イ
/ヽ,ー- ト、 基本操作は標準添付のゲームパッドとマウス、それに画面上のソフトウェア
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... キーボードだけでできるというのも売りで、キーボードは別売2万円だった。
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
____
// \\
/( ●) (●) \ ってことは、モデル2はキーボード込みだと40万円を超えちゃうわけかお。
/::::::⌒ 、_! ⌒::::: \
| 'ー三-' | それにしても、なんでまたコミケに出展したんだお。
\ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ、\ おそらく、FMタウンズのプロモーションが当初の予定通りに
| (●)(●) |
. | (__人__) .| 進まなかったというのが関係ありそうだろ。そもそもは、1988年11月に
| ` ⌒´ ノ
. r─一'´ ̄`<ヽ } 富士通が開催するイベント「電脳遊園地イン東京ドーム」でお披露目される
. `ー‐ァ , ) , -'~⌒ヽ、
ノ {. ,ヘ ,l. ゝ、_ .'ヽ). 手はずになっていたが、昭和天皇の病状悪化から急速に広まった
. /, 、 _ /. | . ', . .. .ヽ、
(/ / // / / ...| ...|\..\\ \_) 自粛ムードのあおりで、このイベント自体が大幅に延期されていた。
/ // / / . . \_\_)、_)
ー' {_/ノ ."´
___
/)/ノ ' ヽ、\
/ .イ '(●) .(●)\ そしたら、発表も先送りになっちゃうわけだお。
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /
/ ̄ ̄ \
__ノ `⌒ \ 結局FMタウンズは1989年2月末の発表となり、「電脳遊園地」は
(●).(● ) |
(__人___) | 3月頭の東京ドームを皮切りに、4月末まで2ヶ月をかけて
, =二ニニヽ、 |
/ 二 ヽ、`,┘ ト、_____ 全国の主要都市で順次開催されていくことになる。
/ -、 }、j┘ イ// : : : .`' ー- 、
/ /{_/ニニ,´>/ : : : : : : : : : : :ヽ そのタイミングに、ちょうどコミケの開催が重なっていたわけだろ。
_/___ ノ : 「r{::::ヘ / : : : : : : : : : : : : : : '、
/ : : : : :ヾミ : :.i r:::', y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
: : : : : : : :/ : : i .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
____
/ \
/ ⌒ ⌒\ プロモーションが出遅れたのを、自前のイベント以外にも
/ ( ●) ( ●)ヽ
l ⌒(__人__)⌒ | 出展する機会を増やしてカバーしようってわけかお。
\ ` ⌒´ /
/ ヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、.\ そしてもうひとつ、コミケへの同人ソフトのサークルの参加数が増えたことで、
| (●)(●) .|
! (__人__) | いわばパソコンマニアのお祭りとしての性格も帯びてきたことが、少なからず
, っ `⌒´ |
/ ミ) / 関係しているようだろ。というのも、今回のコミケは2日間の開催だが、
./ ノゝ /
i レ'´ ヽ 富士通の出展は同人ソフトサークルが配置された2日目だけだった。
| |/| | |
____
/_ノ ヽ_\
/( ●)( ●)\ 結局は、パソコンマニアへのアピールが優先だったわけかお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| ( ( | それにしても、どのへんが「ハイパーメディアパソコン」だったんだお。
\ `ー' /
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ FMタウンズには、ハイパーメディア環境「タウンズギア」が用意されただろ。
(⌒)(⌒ ) |
(__人__) | 標準添付というわけではなかったが、別売の「タウンズOS」のシステム
(`⌒ ´ |
{ | CD-ROMには収録されていた。ちなみに、OSの起動に必要な部分は
{ ノ
__∩ ヽ ノ FMタウンズ用の市販ソフトに含めることができたので、ハードディスクを
(ミんゝ、 / ヽ
\ '' /| | 使わないなら、システムCD-ROMがなくても市販ソフトを利用できた。
,ヘ
____ / /
/\ /\ / /
/( ⌒) (⌒)\/ / なーるほど、初めからハイパーメディアを使えるパソコンって意味かお。
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /
| |r┬-| | むやみやたらにカッコよさげな名前を付けたのとは違うわけだお。
\ ` ー'´ /
/ \ そういや、OSがCD-ROMで売られてるってのは、ハードディスクに
/ \
/ /\ ヽ インストールするのとは違うんかお。
| ./ \ ノ
U ヽ ノ
__
/ノ ヽ\
/(●)(●) \ FMタウンズでは、BIOSがCD-ROMからのOS起動をサポートしていて、
| (__人__) |
| | この時点では、タウンズOSもCD-ROMから使うのが基本だっただろ。
. | |
. ヽ / IBM PCやPC-9800シリーズでは、こういったことは想定されておらず、
ヽ /
/ ヽ いわゆるPC/AT互換機でCD-ROMからOSを起動できるような
| |
| | 仕組みが広まり始めるのは、5年以上も後のことになる。
___
/ ノ' ヽ_\
/ ( >) (< \ ハードディスクがあって当たり前っていうほどでもない
/ ::::::(__人__) |
. | `i i´ | 時代ならではの工夫かお。
\ _ `⌒ ./
/ ⌒
_____
/ .r┐ヽ「|
/ r-、 | .| ./ l l゙l さてタウンズギアは、PC-88VA用の「Pi」と同様に、マッキントッシュの
. / .__,ノヽ ゙、_,ノ '-' .|,,/ |
| (●)ヽ ノ ´/ 「ハイパーカード」の影響を強く受けていた。しかしOSのシステムに
| 〉 〈_,,.-、
.| (__人{ .r''´ バンドルした点や、組み込みのプログラム言語として「ギアBASIC」を
.| ´ ⌒| _,.-i'´
. .{ l-‐'''''''ーl } 用意していた点では、Piよりもさらにハイパーカードに近いものを目指したと
{ . |´ ̄ ̄``l }
{ .| |.} 言えるだろ。CD-ROMには、素材用のデータも多数収録されていた。
____
/ ⌒ ^\
/ ( ●) (●) CD-ROMの大容量さまさまってわけだお。
/ ::::::⌒(_人__)⌒ヽ
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
/ ̄ ̄ \
_,ノ ヽ、,_ \ しかし初期のバージョンでは、16色のグラフィックしか使えない、
(●)(● ) |
(__人___) | グラフィックを配置できる領域を大きくできないといった制約があった。
'、`⌒ ´ u |
| | またギアBASICも、グラフィック描画の機能がない、CD音声の再生は
ヽ 、 イ
ィヽ-ー ≦ノ7 可能だがFM音源やPCM音源によるサウンド再生機能がないなど、
_, 、 -― ''"....:::::::::::::::::::::::::::ト、
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::........--、 本体性能を十分に活かすことができないと酷評されただろ。
丿.:::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r::::: {
r :::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`,::::i
____
/ ノ ヽ\
/ (○)}liil{(○) だいぶ大急ぎで作った感じだお。
/ (__人__) ヽ
| |!!il|l| |
\ lェェェl /
/ ヽ
しヽ ト、ノ
| __ |
!___ノ´ ヽ__丿
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ これらの弱点は、この後バージョンアップに伴い徐々に解消されていった。
(―)(― ) |
(__人__) | しかしRAM1メガバイト用と2メガバイト用で分けられていたタウンズギアの
(`⌒ ´ |
.l^l^ln | 実行ファイルのうち、1メガバイト用では改善が見送られることも
.ヽ L ノ
ゝ ノ ノ 少なくなかったようだろ。
/ / ヽ
/ / |
____
/ \
/ _ノ ヽへ\ そもそも、RAM1メガバイトってのに無理があったわけかお。
/ ( ―) (―) ヽ
.l .u ⌒(__人__)⌒ | ってか、RAMが2メガバイトあったとして、タウンズOSは
\ ` ⌒r'.二ヽ<
/ i^Y゙ r─ ゝ、 それをちゃんと使えてたってことでいいんかお。
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、|
{ { \`7ー┘!
/ ̄ ̄ \
/_,ノ `⌒ \ そのあたりについて、少し説明しておくだろ。最初にも触れたが、
-、 | (● ). (● ) |
ヤ ', | .(___人___) | 8086は、1メガバイトまでのメモリーしか扱うことはできなかった。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ |
', j / / .| | 80286では16メガバイト、80386では4ギガバイトの物理メモリーに
ノ_..ヽ-、′,' ', ,/'|、
.l .___ ヽノ __ .j '.、__ , ___ ィ/::L_ 対応したわけだが、MS-DOSを使う場合、通常はこれらのCPUも
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::/:::::::...`' ー- 、 _
ト.  ̄ ̄ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..\ 8086と同じ機能、同じ制約の「リアルモード」での動作となっていた。
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
/...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ;;;;;::::::::::::::〉
____
/⌒ ⌒\ ホジホジ
/( ●) (●)\ 結局、1メガバイトの制約がついて回るわけかお。
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\
| mj |ー'´ | だから、OS/2が「次世代OS」として期待されてたわけだお。
\ 〈__ノ /
ノ ノ
/ ̄ ̄\
/ノ ヽ、_ \ 1メガバイトを超える部分のRAMは、メモリー保護などの80286や80386の
. (●)(● ) |
. (人__) | 本来の機能を発揮できる「プロテクトモード」でしか利用できないことから、
|⌒´ |
. | / 「プロテクトメモリー」と呼ばれただろ。MS-DOSでも、この領域にまったく
. ヽ /
. ヽ. / 手も足も出なかったわけではなく、プロテクトメモリーの内容をEMSで使う
,-‐)__, /⌒l
. /;─ー〉》 /l 切り替え領域にコピーするなどといった方法をとるソフトも登場していた。
. (_ンー‐-,r'´ . |
| |
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ そうすると、EMS対応ソフトなら、1メガバイト以上のRAMも
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| | 有効に使える可能性があるわけだお。
\____`ー'´____/
(( ( つ ヽ、
〉 とノ ) ))
(__ノ^(_)
/ ̄ ̄ \
⌒ `'⌒ \ しかしEMSは、16キロバイト単位、一般的には64キロバイトの内容を
|(⌒.) (⌒ ) |
|(__人___) | 切り替えながら参照するという方法であり、情報量の多い画像や
| |
i | 音声のデータを大量に扱うには使い勝手が悪いという懸念があった。
ヽ 、 . {
-≦'ト、ーー- ´ ハ、 こういった問題を解決する手段としてFMタウンズが採用したのが、
/: : : : √ヽ、∠´//. :ゝ、
/i : : : : /「::::/\ /. : : : : : : :.>、 「DOSエクステンダー」だろ。
iV: : : :/ /:::/ /. : : : : : : : : : : : .\
i.| : : ,' /:::::,' .:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
___
/ \ キリッ
/ \ , , /\ その、なんとかエクステンダーとかいうやつについて、
/ (●) (●) \
| (__人__) | 説明をお願いするお。
\ ` ⌒ ´ ,/
. /⌒~" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ
| ,___゙___、rヾイソ⊃
| `l ̄
. | |
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ DOSエクステンダーは、MS-DOS上で動くソフトだが、プロテクトメモリーの
(●)(● ) |
(__人__) | 管理を自前で行う。そして例えば外部記憶装置の読み書きの際は、
(`⌒ ´ |
. { | リアルモードで使えるメモリーとプロテクトメモリーとの間でデータ転送を行い、
{ ノ
ヽ ノ MS-DOS側が持つアクセス機能を呼び出す。こういった仲介作業を行って、
ノ7i:7、/]ヽ
/.:i..:::ソ/.::.ヽ メモリーに関する制約が大幅に緩和されたDOSのように振舞うわけだろ。
____
/_ノ ' ヽ_\
/(≡) (≡)\ なかなか便利そうじゃないかお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| | キューハチではあんまり使われないっぽいのはなんでだお。
\ `ー'´ /
/ ̄ ̄\
/ 〉 _ノ ヽ、_ \ DOSエクステンダーの恩恵を受けるには、少なくともソフトの製作元が、
/ /' ( ―)(― ) |
./ //〉 (__人__) │ エクステンダーの提供元が指定する環境を構築したコンパイラーを
.l ´ イ| `⌒ ´ |
.l iY | 使用する必要があった。またDOSエクステンダーは、その仕様が
./ ハ ! /
./ / ' ヽ / 統一されているものではなく、あるエクステンダー向けにコンパイルされた
l / .〉-r:::┬〈、
__「 ー‐1 ./Λ 〉.:〈 7//\ ソフトは別のエクステンダーでは動作しないというような問題もあっただろ。
i//7777|/////V::::::V/////\
|//////|//////∧::://///////}
|//////| ///////∨/////////{
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ 80286より前のCPUでは使えないソフトになっちゃうし、
/ ::::::⌒(__人__)⌒::::\
|  ̄ | マイクロソフトも推してるEMSのほうが安全牌ってわけかお。
\ /
___
/:::::::::::::::::ヽ ____
/ :::::::::./ ̄ ̄ \____ ,. --ー.....:::::::::::::::::::.. \
/ :::::::::: ⌒´ ヽ、,_ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i FMタウンズは、最初からCPUを80386とした上、
| :::::::::::(⌒).(⌒ ) |::::::::::::::::::γ:::::::::::::::::::: ノ
| :::::::::::(__人___) .|:::::::,. -ーy:::::::::::::::::::: / タウンズOSも米ファーラップ製のDOSエクステンダーで
| :::::::::::/::'、 | ̄ _/::::::::::::::::::::: /
| :::::::/::::: | | /):::::::::::::::::::::: / 動作させた。ソフトの開発環境もこれを前提として、
| :::::::::::::/| /レ-,.イ:::::/:::::::::::::::::: /
i ::::::::::::::::. ヽ__、____,. "//::ノ.:::::/:::::::::::::::: j 互換性の心配なく、RAMを贅沢に使えるように
r/:::::::::::::::::「二二二 ::::::::::/::::::::ノ::: 、:::: //
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::r したわけだろ。
___
/ ⌒ ⌒\
/ (○) (○) \ そういうことかお。
/ ///(__人__)/// \
| u. `Y⌒y'´ | ってか、デモ機の画面をちゃんと見てなかったけど、
\ ゛ー ′ ,/
/ ー‐ ィ ありゃ「アフターバーナー」じゃないかお!?
/ ̄ ̄ \
⌒ ⌒ \ 正確に言えば、ゲーム内容はアーケード版の
(⌒)(⌒ ) |
(__人_) | 「アフターバーナーII」だがな。これを移植したのはCSK総合研究所、
'、`-ー-′ | . -,
| `` | / / 後のCRIだろ。ここはセガと同じくCSKグループに属する企業で、
| ィ { r 、 / /
`ュ`ー─ー ´_ノト} }/,`〈 これを皮切りに、FMタウンズやセガの家庭用ゲーム機向けに
/ム _ ,. - / :./リ ,/ /ヽ{
_,. -:::/:/:::ハ / : :/ :.ノ )(_/ ヽヽ、 ゲームソフトを開発していくことになる。
// : / : /:::l y : : : / : : } 〉-< } : :i
j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ / / : :∧
i : r : : 〈 : i::::::::レ : : : : : : : : : :〉、_ 〈リV. :Λ
i : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂`ニニ彡´:.V. : ',
| : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i
____
_ _(_) _ _(_) _ _(_) / ⌒ ⌒ \
l_j_j_j^⊃l_j_j_j^⊃l_j_j_j^⊃(●) (●) ヽ 画面がずいぶん派手に動いてるけど、
ヽ / :: ヽ / :: ヽ / ::⌒(__人__)⌒::: | (_) _
| | | | | | |rt- j ⊂_ l_j_j_j これはやっぱりスプライト機能なんかお。
| ヽ | ヽ | ヽ `ー ' /__ ノ ̄
/ ` / ` / `ー――― ' ノ
| | | /ー'
ヽ ヽ ヽ /
/ _\ / _\ / _\ \_ノ
U (⌒ U (⌒ U (⌒ _ノ
./ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ うむ。ただしMSXやファミコン、X68000などのスプライトとは異なり、1画面分の
( (● ) |
(人__) | グラフィック用のRAMをふたつ用意して、片方を画面に表示している間に、
.r-ヽ |
(三) | | もう片方にスプライトのパターンを次々に転送していくというものだろ。
.> ノ /
./二/ ヽ / この「フレームバッファー」を利用する手法は、アーケードゲームでも、
//// へ>个/ <
.|////ヽ /\///) セガの体感ゲームの一部などで既に使われているものだった。
 ̄ ̄ |\/////|
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\ その方法だと、他の機種と比べてどう変わるんだお。
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\
| |
\ /
/ ̄ ̄\
/ノ ヽ、_ \ この手法では、スプライトの、水平方向への表示数の制限は生じない。
. ( ●)( ●) |
|(人__) | その代わり、グラフィック用のRAMへパターンを転送する速度次第で、
| ⌒ ´ |
. | | 画面全体への表示数の制限が生じる。これを超える場合、FMタウンズでは、
. ヽ /
ヽ / 書き込み領域と表示領域の切り替えが遅れることになった。通常は
,t:.ヤ、..::::<
|i::レ´::::::::.| 秒間60回切り替えるところが、30回、またはそれ以下になるわけだろ。
i´.:::::::::::::::|
____
/ \
/ \ / \ そういや、アフターバーナーの画面の動きも
/ (●)i!i!(●) \
| u , (__人__) | ちょっと荒い感じだお。
\ .`⌒´ 〆ヽ
/ ヾ_ノ
/rー、 |
/,ノヾ ,> | /
ヽヽ〆| .|
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ またFMタウンズでは、グラフィック画面を2枚重ね合わせることができるが、
(●)(● ) |
(__人__) | スプライトを表示する場合は、このうち1枚を2分割してフレームバッファーに
( |
. { | 使う必要がある。このため、スプライトを表示する画面は256×256ドットより
⊂ ヽ∩ く
| '、_ \ / ) 大きくはできないし、背景としては残りの1枚の画面しか使えないという
| |_\ “ ./
ヽ、 __\_/ 制約が生じているだろ。
___
/ \
/ _ノ '' 'ー \ その分をスプライトでカバーするってのは無理なんかお。
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄ ̄ヽ
/ ヽ タウンズの持つスプライトパターンの転送能力で、秒間60回の切り替えに
| _,ノ ヽ、_ |
| (●)(●) | 間に合わせるには、表示数は16×16ドットで200枚程度が上限だった。
| (__人__) |
ヽ. ノ つまりスプライトで極端に大きなキャラクターを表示したり、多重スクロールの
.> く
/ ヽ カリカリ 2画面目のように見せたりするには、秒間の切り替え回数を30回にするか、
_/((┃))____i |
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄(,_,ノ \ または配置を工夫して枚数を減らすといった工夫が求められたようだろ。
/ /_______ヽ.. \
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ なるほどだお。スプライトが消えたりはしないわけだから、
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| | 工夫次第では、けっこうなことができそうな感じはするお。
\ `ー'´ (⌒)
> ノ ~.レ-r┐、
/ ノ__ | .| | |
| 〈 ̄ `-Lλ_レレ
|  ̄`ー┬--‐‐´
/ ̄ ̄\
__ノ ヽ、,_ \ 一方FMタウンズは、ビジネスソフトがある程度揃っていることも
(●)(● ) |
(__人___) | 売りのひとつだっただろ。というのも、オフィス向けビジネスパソコン
| |
| | 「FMR」シリーズの「FMR-50」とBIOSレベルで互換性があり、MS-DOSを
ヽ .イ_
__「ヽー'ーー"/ L 導入することでそのソフトを利用することができる。さらに拡張ユニットを
_, 、 -― ''":::\::: ̄ ̄::::/::::::ヽ、
/;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'ー、 増設すれば、FMR-50用の拡張ボードの一部にも対応可能だった。
/ r二\;;;:::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
i ;;;::::::::\\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'、:::: !
/;;;;;:::::::::::::У ̄\ー, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
l ;;;;;::::::::::::// ̄}<r´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::: |
____
/ \
/ ヽ、 _ノ \ ゲームからビジネスまで、どんと来いってわけだお。
/ (●) (●) \
| (__人__) | キーボードを足してもキューハチRAよりは安いし、
\( (ヽ(\ ⌒´ /
γ⌒\\\\ ⌒ヽ なかなかいけそうじゃないかお。
i j ヽ 人`ヽー‐ i
ヽ、 l ( ̄ ) て___.ノ
../つゝ、,,!  ̄ `⌒ }
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ しかしタウンズは、当初は2ヶ月弱で2万台を受注したものの、
(●)(● ) |
(__人__) | その後は期待よりも売り上げが伸びないことが次第に明らかに
(`⌒ ´ |
. { | なっていくだろ。富士通の協力を受けてFMRの互換機「パナコムM」を
{ ノ
mm __ヽ ノ 販売してきた松下が、タウンズを家電ルートで売り出す予定に
(⊂ jl::::::;:7i:7、/]ヽ
 ̄ ̄/.:i..:::ソ/.::.ヽ なっていたが、これも早々に見直しに追い込まれることになる。
♪ ♪
/ ̄ ̄ ̄\
/⌒) ─ ─ \
/ / (●) (●) \ /⌒) どうしてそうなったんだお。
.( ヽ (__人__) | //
\ ` ⌒´ //
| /
♪ | |
l⌒ヽ _ノ ♪
| r ` )
(_ノ  ̄ ̄/ /
( _)
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ、.\ まず、肝腎のCD-ROMドライブの性能の悪さがあるだろ。
| (●)(●) |
| (__人__) | 松下が提供したCD-ROMドライブの読み出し速度は標準速、
___|__`⌒ ´ |
, --'、 / 丿 つまり毎秒150キロバイトだった上、制御部分の出来も不十分で、
/ ⌒ ). / <
,′ ノ / /三三三三丑 「お待ちくださいの表示が出るまで1分、読み込み完了までに
l T´ ..___/ // r'´ ̄ヽ
ヽ ノ ./丶 // (  ̄ l さらに数分待たされる」という記事が雑誌に載ったほどだった。
`'ー'´ | //_____/ _.ノ
____
/ノ ヽ、_\
/( ○)}liil{(○)\ それはさすがに問題だお。
/ (__人__) \
| ヽ |!!il|!|!l| / | 32ビットCPUの能力に釣り合ってない感じかお。
\ |ェェェェ| /
/ ̄ ̄\
_,ノ ヽ、_ \ また、ハードディスク内蔵モデルがない、別売のキーボードには
(●)(● ) |
(__人___) | テンキーがないなど、ビジネスソフトを本格的に使うには
'、 |
| | 不十分と見なされた。一方ゲームについても、ローンチソフトの
| , /_.{
`ァニニ<//〉、__ __ アフターバーナーは、見た目は派手に仕上がっていたものの、
,./ /\ / : : : : : : > : :\
_/ /|イ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶 アーケード版をやり込んだマニアからの評判は芳しくなかっただろ。
/. : : : :| ./`Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
,´ : :/: : : :| i::::::|/ : :/: : : /: : : : : : : : :|
{ : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ\: ヽ:ノ
、'ーr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ V: : : : ` :´
/ :./ ̄>< :./ : : : : :/ 二 ヽ_」┘: : : ∨}
/ : : :ム / : : : : ̄ ̄ ̄ ̄~゙''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
,,, ====,,
〃 ─ ─ \
/ 《 (●) (●) ヽ 動きの荒さ以外にも、まずいところがあったんかお。
|∩|| (__人__) }}
|∪《 ` ⌒´ ∥|
\ ミ三三| ̄|三彡/
_,,, ト __ 兀 _ イ,,_
/ i | | i i
/ ̄ ̄\
/ ヽ、. _ノ \ アーケード版のアナログスティックの操作系を、方向キーをオンかオフにしか
| (●)(●) |
| (__人__) | できないゲームパッドにそのまま当てはめたため、方向キーの入力をやめる
| ` ⌒´ |
| } たびに自機が画面中央に戻る動きをして、微妙な狙いがつけられないだろ。
∧、 ヽ }
γ⌒ヽ.\ ヽ、.,___ノ またアーケード版のスロットルの代わりに、ゲームパッドのボタンで飛行速度を
.|(●).| i\、''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、
.ゝ_ノ ^i | |::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_ 変更する仕様が、操作を不自由にすることも悪評を招いた。
|_|,-''i⊃l()::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
[__|_|/〉l/:::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
([ニニ/〉[中 尉 ]\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
|└―'_〉;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
_,,―――,,_
/ ========ニ\
/ 〃 ヽ そりゃまたどういうことだお。
|∩{{ ─ ─ }}
|∪ || (●) (●) }}|
\ {{ ∩(__人/777∥/
_,,, ト ミ.(丶__////彡イ,,_
/ ト - > ....,__,イ イ i "i
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \ FMタウンズのジョイスティック端子は、PC-6001やMSXのものとある程度
(= )(= ) |
(__人__) U | 互換性があるが、本体付属のゲームパッドには、MSXのものにあるボタン
l` ⌒´ |
. { U | 2個の他、「SELECT」と「RUN」のボタンが追加されていた。これらはそれぞれ、
{ /
_. -: ´∧ _,__ _.へ` 、 方向キーの上と下、左と右を同時にオンにしたのと同じ状態にするもので、
r<....::::::::::ゞ::::::::::::r' \ :\_
/.::::::l:::::::::::::::::::::::::::::L>、 >ヘ::ヽ アフターバーナーでは、これらを速度変更に使うようになっていただろ。
| :::::::ト、::::::::::「|:::::::::::::::::::`ー/:::::::::V::|
〈:::::::::::::::::::/へ、:::::::::::::::::∧::::::::::::::V }
/::::::_ン´「 ヽ`ヽノ:::::::::::::::::::Λ::::::::::::::ヘ}
____
/ \
/ \ そしたら、「SELECT」とか「RUN」を押してる最中は、方向入力が
/ \
| \ ,_ | うまくできないわけだお。ゲームの一時停止に使うならまだしも、
/ u ∩ノ ⊃―)/
( \ / _ノ | | ゲーム中に使わせるのはまずいお。
.\ “ /__| |
\ /___ /
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、 \ こういったハード、ソフト両面の問題点は、タウンズギアと同様、
( ●)( ●) |
(__人__) | ../} 後に登場するもので徐々に改善されていくことになる。やがて、
_ ヽ`⌒ ´ | / / __
(^ヽ{ ヽ { ./ / . / .ノ FMRが既に食い込み始めていた教育市場に、FMタウンズが
( ̄ ヽ ヽ i ヽ / 厶- ´ /
. (二 ヽ i i |,r‐i ノ. ヽ / / 後継機種として進出していくことになるが、ひとまずタウンズは、
ヽ / ノ / r一'´ ー 、  ̄ ̄ ̄)
i { イ―イ / .`ー―. 、__ .〈 ̄ ̄ 思わぬ苦難を抱えながらの船出となるだろ。
ヽ. `ー '/ / /\ \
`ー '  ̄ ̄! | ヽノ
/)
///)
/,.=゙''"/
i f ,.r='"-‐'つ____
. / _,.-‐'~/⌒ ⌒\
,i ,二ニ⊃( ●). (●)\ 確かに、ハイパーメディア環境がOSに付いてくるっていう点では、
. ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
,イ「ト、 ,!,!| |r┬-| | 小中学校あたりには向いてそうだお。
/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ さて、この1989年3月には、X68000の新製品として、2メガバイトのRAMを
| (●)(●) |
| (__人__) | 標準装備した「X68000エキスパート」と、本体デザインを横置きに大胆に
.| ` ⌒´ .}
.| .} 変更した「X68000プロ」も発売されている。価格はX68000エキスパートが
ヽ . }
___._,r、 Yヽ ノトj 356,000円、X68000プロが298,000円。それぞれ、40メガバイトの
/`ヽ_j'、_ノ ̄l!'´ヾ- 、_`_¨ 」、
∧ ,ノ Yヽ l ヽ 7ヽ~ヘヽ.、 ハードディスク内蔵モデルは110,000円増しとなっていただろ。
/-'´「 ヽ ヽj_. l ト、 /〃ハ | ヽ `ヾ 、_
r'´, イ ヽ、 `,__,ィ、__)| l ヾヽ∧'〃ノ゙ヽl ヽ ヽj`ヽ
/ '´ ト、 Yrイ ∧l ', ヽ Tヘ', l _..ノ l j ',
,′ .}、二ィ } / l ヽ ', |、、ヘ. | \ / }. ヘ
i トz'_ノ,イ | ',. ', l、ヽヘ | | j/ l
| ノ \¨7/ l ト、 ヾ 、ヽ ',.l lー- // |
ゝ─'-- -r-`' l ',.ヽ ヽ ヽヽ! | ̄ /j l
●X68000エキスパート(CZ-602C)、エキスパートHD(CZ-612C)、プロ(CZ-652C)、プロHD(CZ-662C)
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃日立 HD68HC000(MC68000) 10MHz ┃
┃ サブCPU .┃インテル 80C51(キーボード制御) ┃
┃補助演算装置┃モトローラ MC68881(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃128KB(IPL、BIOS等) ┃
┃ ┃ +768KB(CG-ROM+漢字ROM、JIS第一水準・第二水準) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃2MB(プロとプロHDは1MB、いずれも最大12MB)+512KB(V-RAM) ┃
┃ ┃ +512KB(グラフィックV-RAM)+32KB(スプライト・背景用) .┃
┃ ┃ +16KB(システム用) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示 ┃768×512ドット ┃
┃ ┃または512×512、256ドット ┃
┃ ┃または256×256ドット ┃
┃ (文字) ┃仮想画面1,024×1,024ドット・65,536色中16色 ┃
┃ (グラフィック) ┃仮想画面1,024×1,024ドット・65,536色中16色 ┃
┃ ┃または仮想画面512×512ドット・65,536色(または65,536色中256色・2画面 ....┃
┃ ┃ または65,536色中16色・4画面) ┃
┃ ┃※仮想画面512×512ドット設定は画面表示768×512ドットの場合使用不可 .┃
┃ (背景) ┃仮想画面1,024×1,024ドット・65,536色中256色(16×16ドット単位で16色) ...┃
┃ ┃ ※画面表示が512×512ドットの場合 ┃
┃ ┃仮想画面512×512ドット・65,536色中256色(8×8ドット単位で16色)・2画面 ┃
┃ ┃ ※画面表示が256×256ドットの場合 ┃
┃ (スプライト) ┃16×16ドット・65,536色中16色(画面全体では背景含め256色まで)、128枚 ....┃
┃ ┃ (水平方向には33枚以上表示不可) ┃
┃ ┃※背景とスプライトは画面表示768×512ドットの場合使用不可 ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃FM音源8音(8オクターブ) ┃
┃ ┃ADPCM1音(サンプリング周波数最大15.6kHz) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、2台内蔵) ┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(エキスパートHDとプロHDは40MB内蔵) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格 ┃356,000円、466,000円(エキスパート、エキスパートHD) ┃
┃ ┃298,000円、408,000円(プロ、プロHD) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
____
/ \
/ ─ ─ \ X68000プロは、30万円切ったっていうのはいいけど、
/ (●) (●) \
| (__人__) | 確かに今までとはかなり格好が違ってるお。
\ ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
/ ̄ ̄\
/ ヽ、__ .\ このデザイン変更は、熱心なファンの間では物議を醸した。その代わり、
(⌒)(⌒ ) |
(__人___) | 従来の機種では拡張ボードを3枚以上利用するには別売の拡張ユニットが
l`⌒ ´ |
| | 必要だったのに対し、X68000プロでは本体内に4枚までのボードを
| 、 _,.ーへ
_. -: ::::ヽ__「 v、___ 収納できる点で、拡張性には優れていただろ。
__,. <::::::::::::::∧:::二〈 、 ∨:::::\
/:::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::ヽ_〉、 -ー、:::::∧
/::::::::::::::ト、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー/ ::::::::>:、::ハ
〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::::::::v::、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Λ::::::::::::::::::::::::ヽ|
____
/⌒ ⌒\
/ ⌒ ⌒ \ スタイルよりは、実益を優先させたってとこかお。
/:::::: " (__人__) "::::: \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
.r-、 / ̄ ̄\
/て ) / \ / ところでこのX68000用にも、アーケードの「アフターバーナーII」の
( _ノ フ. | ( ●)(●)
ゝ、 〈 | (__人__) 移植が、松島徹氏ら電波新聞社に関わる面々によって進められていた。
/ ハ ヽ. | ` ⌒´ノ
/〃 ヘ \ . | } こちらは見た目の派手さよりは、動きの滑らかさとスピード感を重視しており、
i ! \ ` ーヽ }
丶丶 _ > ヽ ノ、 操作もゲームパッドには対応せず、マウスとキーボードで操作するという、
ゝ'´- 、_ y-、 \
〈  ̄ う /、 ヽ FMタウンズ用とはまったく対照的な内容となっただろ。
`ー― ¬、__ノ | > /
| r'^ヽ'´ _/
| `く__ノ´
____
/ \
/ ⌒ ⌒ \ 確かに、ちょっと地味目だけど、
/ (●) (<) \
| (__人__) | 見てるだけの人にも何をやってるのかはわかりやすいお。
\ `⌒´ ,/
/_∩ ー‐ \
(____) |、 \
/ ̄ ̄ \
⌒ `⌒ \ これに合わせ、5月には、シャープがアナログレバーとスロットルを
( >) ( ●) |
(__人___) | 装備した大型のジョイスティック「サイバースティック」を発売する。
'、 |
,,. -ー| |ヽ___ 標準価格が2万円を大きく超えるという代物だったが、この頃
/ .:::〉-、_ ___ /ィ::::::::::::..`' ー-、
l ::::://// ,ヽ__,. ":::/::::::::::::::::::::::.. ヽ 国内のパソコンやゲーム機向けのコントローラーはアナログ入力
」 :::/ 代_|二::::/ :::::::::::::::::::::::::::::::..\
l ::::/__ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::: i 対応のものが少なくなっており、かなりの話題となっただろ。
L√:::::>、<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l :::::::::::::::::: |
ハ::::::::::::::::v":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::: |
ハ::::::::::::::::: 〉ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::/::||
ハ:::::::::::::::::: i/\:::::::::::::::::::::::::::::::::::;| ::::::::::::::::::: ノ::|
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\ 金もとるけど場所もとるって感じだお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |
__( ⌒-ィ⌒ヽ、 /⌒` '⌒ )__
`ー-ゝィソノー‐ヾy_ノー"
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ、\ このサイバースティックは、制御方法が通常のジョイスティックとは
| (●)(●) .|
. | (__人__) | 異なるものの、電気的にはPC-6001やMSXのジョイスティック端子にも
∧ .| ` ⌒´ ノ
/\ヽヽ } 対応可能になっており、後にはこれらと互換のある端子を持つ、音源ボードを
,r―''''''ヽ, ヽ ノヾ、
,r‐' ,、;-‐''''""''ヾ、、, く l 装備したPC-9800シリーズやFMタウンズ向けにも、対応ゲームが
/ ./ r''"ヽ, \, l`ヽ、
j l ,. / ' l ヽ、 ト, ヽ 登場するほどだっただろ。それじゃ、もう少し先に進もう。
,.Lj∠、'´ , i, / `ヾ、`'ヽゝ
l, / 二'''" ,;、, `''ー゙--、
/゙ヽ-ッ-‐'´ ./`ト-:rイ「´ ゙l;:`''ト-、,_ ノ'i,
/ / ,;∠∠,ノ´ イ l l, ├''| |、,/ l |
|
_ 人 _
`Y´
|
1989年6月、大阪・日本橋──
:.::.:.
:.:.:.::...:.:.::.:::.: ::..:::...... ..:...:. __i___
; :.:.:.::...:.:.::.... : ...:::......:. |.:.::..:.|
i! ::......:... .. ... :..:.:. .:...:.|.:.::..:.|
___ X ____i_,.::i-───────┐
| |ヽ XX | |\ ..:..lilXil二ilXi |
| |;;;;| ,i'ili'i, | iココ iコiコ |";:l: .: lilXil二ilXi |
__i___ ̄'i\___ |lilXil| _____| iココ iコiコ |";:i. .: lilXil二ilXi |
┐┐┐ |\i:Y ___)llliXil|| .:.:.. |:.: l. .: lilXil二ilXi |
┐┐┐ |;:...l |;;i::;:,i|liliXil|l,|:.:.:..ロ ロ ロ ロ ロ ソ二) ' ̄ ̄ ̄\\.: |
┐┐┐ ||' ̄|:;| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|:.:..ロ ロ ロ ロ |;i':.:| lコ lコ lコ |Li|,.:|
┐┐┐ || lX|:;iXil二ilXil二ilX |:.:..ロ ロ ロ ロ |;i.::.| lコ lコ lコ ||L|; |
┐┐┐ || lX|:;iXil二ilXil二ilX |:.:..ロ ロ ロ ロ |;l.:.:| lコ lコ lコ ||Lil,.|_
┐┐┐ || lX|;;iXil二ilXil二ilX |:.:..ロ ロ ロ ロ |;i.:.:| lコ lコ lコ ||Li|Li,|
┐┐┐ || lX|;;iXil二ilXil二ilX |:.:..ロ ロ ロ ロ |;i.:.:| lコ lコ lコ ||Li|Li.|
┐┐┐ || lX|;;iXil二ilXil二ilX |:.:..ロ ロ ロ ロ |;i.:.:| lコ lコ lコ ||Li|Li.|
┐┐┐ || |"|Xil二ilXil二ilX |:.:..ロ ロ ロ ロ |;i.:.:| lコ lコ lコ ||Li|Li.|
(ヽ三/) ))
__ ( i)))
/⌒ ⌒\ \
/( ●) (●)\ ) 意外にキューハチRAの箱を運んでる人が
./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\
| (⌒)|r┬-| | いる感じだお。あんな高いの、よく売れるもんだお。
,┌、-、!.~〈`ー´/ _/
| | | | __ヽ、 /
レレ'、ノ‐´  ̄〉 |
`ー---‐一' ̄
/ ̄ ̄\
/ __,ノ ヽ、_ とはいえ、FMタウンズの登場で、PC-9800シリーズの店頭相場は
| (● ) (● )
| (___人__)i 値下がり傾向が強くなり、PC-9801RA2ではこの頃、実売価格が
. | ノ
| | 40万円を切ったという報道もあっただろ。ちなみに、1989年4月には
. 人、 |
. _,/(:::::ヽ、 __ ,_ ノ 3%の税率で消費税がスタートしたが、このシリーズでは特に
― ''"...:::::::\ ::::::::::::::::::7、
、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..-、_ 注記のない限り、税抜き価格での表記とさせてもらう。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙'ー、
____
/ \
/ _, 、_ \ そういや、消費税導入からも
/ ( ―)三(― ) .\
| '" (__人__)"' | 2014年で四半世紀になるんだったかお。
\ ` ⌒ ´ /
/ゝ "` `ヽ.
/ \
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ さてその4月には、3.5インチフロッピーディスクドライブ搭載のPC-9800シリーズの
| ( ●)(●)
| (__人__) 新機種として、NECが、「PC-9801EX」と32ビットCPUを採用した「PC-9801ES」を
| |r┬| .}
| | | | } 発売しただろ。ハードディスクなしの「PC-9801EX2」と「PC-9801ES2」がそれぞれ
,..-'ヽ `ニニ }
./::"::::`ヽ、.,__ __ノ ゙ 348,000円と448,000円、20メガバイトのハードディスク内蔵の「PC-9801EX4」が
/::i::::::::::::"'弋'!ー',イ>|'_ノ´`ー -,,_ _
. }:::゙|::::::::::::::::::::~゙:_戈;f" 、 イ/ `i 488,000円、40メガバイトハードディスク内蔵の「PC-9801ES5」が638,000円だった。
/:::::::!;:::::::::::::::::::/',r.テ \xー.ォ、__ノ
::::::::::::ヾ!:::::::::::::l .l r' ` 、_冫y"
:::::::::::::::::\o:::::l .ト、 ヽ,_ノ"ー'
:::::::::::::::::{::::{\代 l>ー、,_ノ
●PC-9801EX2、EX4
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃80286-12または同等品 12MHzまたは10MHz ┃
┃ ┃NEC μPD70116 8MHz ┃
┃補助演算装置┃インテル 80287(オプション、80286用) ┃
┃ ┃インテル 8087(オプション、μPD70116用) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃96KB(BASIC、モニター等)+8KB(CG-ROM)+16KB(サウンドROM) .┃
┃ ┃ +α(漢字ROM、JIS第一水準・第二水準内蔵) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃640KB(最大9.6MB)+12KB(V-RAM)+256KB(グラフィックV-RAM) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示(文字) ..┃80、40文字×25、20行・8色・2画面 ┃
┃ (グラフィック) ┃640×400ドット・4,096色中16色・2画面(またはモノクロ・8画面) ┃
┃ ┃または640×200ドット・4,096色中16色・4画面(またはモノクロ・16画面) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃FM音源3音(8オクターブ)+矩形波3音(8オクターブ)+ノイズ1音 .┃
┃ ┃矩形波(周波数変更可能) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃3.5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、2台内蔵) ┃
┃ ┃ ※内蔵ドライブは両面倍密度倍トラックタイプのディスクの読み書き可能 .┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(EX4は20MB内蔵) ┃
┃ ┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、オプション) ┃
┃ ┃8インチフロッピーディスクドライブ(両面倍密度、オプション) ┃
┃ ┃CD-ROMドライブ(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格(税別) ┃348,000円、488,000円(EX2、EX4) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
●PC-9801ES2、ES5
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃80386SX-16 16MHz ┃
┃ ┃NEC μPD70116 8MHz ┃
┃補助演算装置┃インテル 80387SX(オプション、80386SX用) ┃
┃ ┃インテル 8087(オプション、μPD70116用) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃96KB(BASIC、モニター等)+8KB(CG-ROM) ┃
┃ ┃ +α(漢字ROM、JIS第一水準・第二水準内蔵) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃1.6MB(最大4.6MB)+12KB(V-RAM)+256KB(グラフィックV-RAM) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示(文字) ..┃80、40文字×25、20行・8色・2画面 ┃
┃ (グラフィック) ┃640×400ドット・4,096色中16色・2画面(またはモノクロ・8画面) ┃
┃ ┃または640×200ドット・4,096色中16色・4画面(またはモノクロ・16画面) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃矩形波(周波数変更可能、BASICでの音楽演奏は不可) .┃
┃ ┃FM音源3音(8オクターブ)+矩形波3音(8オクターブ)+ノイズ1音※オプション ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃3.5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、2台内蔵) ┃
┃ ┃ ※内蔵ドライブは両面倍密度倍トラックタイプのディスクの読み書き可能 .┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(ES5は40MB内蔵) ┃
┃ ┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、オプション) ┃
┃ ┃8インチフロッピーディスクドライブ(両面倍密度、オプション) ┃
┃ ┃CD-ROMドライブ(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格(税別) ┃448,000円、638,000円(ES2、ES5) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
_∩
/ 〉〉〉
{ ⊂〉 ____
| | /⌒ ⌒ \
| | /(●) (● ) \ ESのスペック表に出てる、80386SXってなんだお。
| |/:::⌒(__人__.)⌒::: \
ヽ | |,┬‐ | |
\.\ `ー ´ /
\ __ ヽ
ヽ (____/
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ これはインテルが1988年に発表した、80386の廉価版だろ。
| (⌒ )(⌒)
| (__人__) 80386と同じ機械語プログラムを実行できるが、メモリー周りの性能を
| ` ⌒´ノ
| } 80286と同レベルに制限してあり、80286搭載パソコンの設計を
ヽ ヘミ|
/,` 、` -`,--` , 流用しやすいのが特徴だった。
__,---/;;;;;` `-,-/ニニ |
;;;;::::、:::::::::|、_ ,>、 /::l,_l・ ,<、__
;;;;;;;;:::|::::::::::<:::::::ヽ``l::::| |`l,::::ヽ
;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::\|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
___
/(●)^ ヽ\
/ (_ (●) \ そういえば、ESのほうはサウンド機能がオプションになってるんかお。
/ Y ヾ__)⌒::: ヾ
i ヾ⌒ノ ノ
\ ー /
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ うむ。これは、PC-9800シリーズの3.5インチフロッピーディスクドライブ内蔵
| ( ●) (●)
.| (___人__) デスクトップ機としては、初代にあたるPC-9801U以来だろ。小型低価格と
| ノ
_,.| | いうことで、ホビー機としての性格も担っていたこの系列の中で、
.―― < / |ヽ 丿
:ヽ : : : : :/ : :| \ __ _ / ESに限っては、あくまで実用最優先という位置づけになったわけだな。
: :| : : : く: : : :|、 /=|´| :| .\
: : : : : : :> : | `'|::::/|/:,┘ : . ヽ
:/ : : : : ヽ : : | |:::| / : :> : : : : :丶
:.: : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
: : : : : : : : :Λ:|'::::::ノ: :/_ : : : / : : : .丶
___
/ ヽ、_ \
/(● ) (● ) \ まあ、ES2で40万円超えてるんだし、そうなるのもしょうがないかお。
/:::⌒(__人__)⌒::::: \
| l^l^lnー'´ | しっかし、サウンド機能をオプションにしても、FMタウンズのモデル2と
\ヽ L /
ゝ ノ キーボードを足したのより高いってのは、ちょっとどうかって気もするお。
/ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ まあ、タウンズは画面モードがいろいろあるために、ディスプレイは
| ( ●)(●)
| (__人__) 純正品以外を選びづらいだろ。他社製品の安価なものを選ぶ余地の広い
| ノ
| ∩ノ ⊃ } PC-9800シリーズに比べると、トータルでは高くつく可能性もあるがな。
/ヽ / _ノ }
( ヽ / / ノ
ヽ “ /_| |
\__/__ /
____
/^ ⌒ \
(へ) (へ ) \ そこまで含めて、キューハチの力ってわけだお。
/⌒(__人_)⌒:::::: \
| ヽvwwノ |
\ `'ー' /
. / ̄ ̄\
. / ,ノ \ Y⌒i __ さて、6月に入ってNECは、ある意味ホビーユーザー待望とも言える
| (●)(●) | | ./ .)
. | (__人__) .| | / ./ パソコンを発売した。それが、「98モード」と「88モード」を切り替えることで、
| ` ⌒´ リ i_/ ./
. ヽ / ,`弋ヽ PC-9800シリーズとPC-8800シリーズのどちらのソフトも利用できるという
__ ヽ - γ⌒ヽ Y´ ,`ヽ
/ : : :介〈 `ー 、く 〈::...ノVヽ 「PC-98ドゥ」だろ。価格は298,000円だった。
| : : : : ::〈 「`ヽ_ー 、 `ヾ_/ //:|
| : : : : : /: | {::::} フ-、`ー┴‐- │
| : : : 〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|
●PC-98ドゥ(PC-98DO) ※▼マークの付いている項目は98モード、▽マークの付いている項目は88モード
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃NEC μPD70116-10 10MHzまたは8MHz▼ ┃
┃ ┃NEC μPD70008A-8 約8MHzまたは約4MHz▽ ┃
┃ サブCPU .┃NEC μPD780-1(Z80A互換) 約4MHz(フロッピーディスク制御)▽ ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃96KB(BASIC、モニター等)+8KB(CG-ROM)+16KB(サウンドROM) .┃
┃ ┃ +α(漢字ROM、JIS第一水準・第二水準)▼ ┃
┃ ┃128KB(N88-BASIC等)+2KB(CG-ROM)+8KB(サブCPU用) ┃
┃ ┃ +256KB(漢字ROM、JIS第一水準・第二水準)▽ ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃640KB+12KB(V-RAM)+256KB(グラフィックV-RAM)▼ ┃
┃ ┃192KB+4KB(V-RAM)+48KB(グラフィックV-RAM)+16KB(サブCPU用)▽.┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示(文字) ..┃80、40文字×25、20行・8色・2画面▼ ┃
┃ ┃80、40文字×25、20行・512色中8色▽ ┃
┃ (グラフィック) ┃640×400ドット・4,096色中16色・2画面(またはモノクロ・8画面)▼ .┃
┃ ┃または640×200ドット・4,096色中16色・4画面(またはモノクロ・16画面)▼ .┃
┃ ┃160×100ドット・8色(1文字と同じサイズ単位での色指定)▽ ┃
┃ ┃640×200ドット・512色中8色▽ ┃
┃ ┃または640×200ドット・512色中8色・3画面▽ ┃
┃ ┃ (1文字と同じサイズ単位での色指定) ┃
┃ ┃または640×400ドット・512色中8色(1文字と同じサイズ単位での色指定)▽ ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃FM音源3音(8オクターブ)+矩形波3音(8オクターブ)+ノイズ1音 .┃
┃ ┃矩形波(周波数変更可能) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、2台内蔵) ┃
┃ ┃ ※両面倍密度倍トラックタイプのディスクの読み書き可能▼ ┃
┃ ┃ ※両面倍密度タイプのディスクの読み書き可能▽ ┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(オプション)▼ ┃
┃ ┃CD-ROMドライブ(オプション)▼ ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格(税別) ┃298,000円 ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
_. -─‐-
/ ─ \
/ / (● ) \ PC-88VAをちょっといじれば、キューハチのソフトも
/ ( ●) 、_) ⊂ヾ、
| (__ノ |E ) コリコリ 動きそうな気がしてたけど、スペック表を見てると、
ヽ _ノゝ ヽ
>  ̄ ` ノ そういうのとは全然違うっぽいお。
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ PC-88VAでは、新しいCPUや映像用LSIにPC-8801のそれを
| .( ●)(●)
| (___人__) 再現させるという方法をとっていたが、PC-98ドゥでは、これらは
| ノ
. .| | 無理に統合せず、98モード用と88モード用のそれぞれを搭載している。
. 人、 |
,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ その代わり、例えば88モードでのグラフィックV-RAMと98モードの文字用の
ー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、 V-RAMを共用するなどといった共通化は、大胆に行っているだろ。
:::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_
::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ
::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
____
, ヘー‐- 、 /ヽ / \
-‐ノ .ヘー‐-ィ /(●.) (● )ヽ CPUも映像用のLSIも今までのものが安くなったから、
''"//ヽー、 ノ ./:::⌒(__人__)⌒::::::ヽ
//^\ ヾ-、.| |r┬-| | 互換性を重視するなら両方載っけたほうが無難ってわけだお。
,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)\ `ー'´ /
/ <^_,.イ `r‐'゙ ::::ヽー‐-..、 ,..-‐|、 それでキューハチVM11より安いんなら、なかなかのもんじゃないかお。
\___,/| ! ::::::l、:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.| \
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 実際、いずれのモードでも互換性はかなり高いものになっていた。
| ( ●))
. | (__ノ_) しかし、それでもなお、PC-98ドゥには課題が少なくなかっただろ。
| `⌒ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
___ クルッ
/ ノ ヽ_\  ̄` 、
/(● ) (● )\ |,ノ ほう。
ビシィッ / (__人__) \  ̄
| し | Y | 詳しい説明を聞きたいお。
Vて \ `ー ' /
そ と⌒ヽ `> 〈´
ヽ V´ ヽ
ヽ / 、
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ ヽ、_ まず非常に不評を買ったのが、サウンド機能がPC-8800シリーズで言う
| ( ●)(●)
.| U (___人__) 「サウンドボードII」の機能を持たなかったことだろ。しかも拡張スロットは
| ` ⌒´ノ
| |_,-‐、_ -、 PC-9800シリーズ用の仕様になっているので、サウンドボードIIを
.人、 厂丶,丶 v 〉.
_,/::::ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ 増設することすらできない。また、サウンド機能内蔵のPC-9800シリーズの
-''"::::::::::::\::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ;;;;;;; ) 前例にならってか、ジョイスティック端子も装備していなかった。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;;;|
;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;〈 ;;;;:::::::::::... ',;;i
;;;;;;;::::::\::::::::::::::::::::::;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
____
/ノ ヽ、_\
(●) (● ) \ そういう点まで含めて考えると、
/⌒(__人__)⌒::::::::\
| |r┬-| | PC-8801FE以下と言えなくもないわけだお。
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ ヽ /
\_,,ノ| 、_ノ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ 一方98モードについても、拡張スロットが1個しかないことで、
| ( ●) |
| (__人) 周辺機器の増設には大きな制約がかかった。拡張RAMや
| ⌒ノ
ン ノ 外付けのハードディスクインターフェース、あるいはMIDIインターフェースの
/⌒ヽ、 _ノ
/ ノ \__ィ ´ いずれも、通常は拡張スロットをひとつ使うので、択一になってしまうだろ。
( y |.
\ \ |
\ィン、__)、
.| ij ,ノ
/ ̄ ̄ ̄\
../ _, 、_. \ 初めから拡張しないのを前提で使うならともかく、
/ (● ) (● ) \
| (__人__) | ちょっと本気になって使うには足かせが大きいわけかお。
\ ` ⌒´ /
〆~\ /ヽ
/:::;;;、:::::::i::ヽ`介´/::::i::::::::::ヽ
<:::::::::::<|:::::::l::::ヽ| | i::::::7;;;;;;:l::::}
. \::::::::\:::::\;;;i,,/:/:::::::::i:::::{
. / ̄ ̄\
. / _ノ .ヽ、\ この6月にはエプソンも、PC-286VEの後継機種
. | (●)(●) |
| (__人__) .| 「PC-286VF」を発売しているだろ。5インチフロッピーディスクドライブ
. | ` ⌒´ ノ
ヽ ._ .} 2台のみ内蔵のVF-STDが298,000円、ハードディスクも内蔵する
ヽ_/ } . ノ
/、 〈 く VF-H20とVF-H40がそれぞれ423,000円、513,000円だった。
ハ ヽ Y`ー.、i
{ ヽ_ゾノ-‐1
`¨´┬' . |
●PC-286VF-STD、VF-H20、VF-H40
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃80286-12または同等品 12MHzまたは10MHzまたは6MHz .┃
┃補助演算装置┃インテル 80287(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃96KB(BASIC、モニター等)+8KB(CG-ROM) ┃
┃ ┃ +α(漢字ROM、JIS第一水準・第二水準) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃640KB(最大12.6MB)+12KB(V-RAM)+256KB(グラフィックV-RAM) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示(文字) ..┃80、40文字×25、20行・8色・2画面 ┃
┃ (グラフィック) ┃640×400ドット・4,096色中16色・2画面(またはモノクロ・8画面) ┃
┃ ┃または640×200ドット・4,096色中16色・4画面(またはモノクロ・16画面) .┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃矩形波(周波数変更可能、BASICでの音楽演奏は不可) .┃
┃ ┃FM音源3音(8オクターブ)+矩形波3音(8オクターブ)+ノイズ1音※オプション ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、2台内蔵) ┃
┃ ┃ ※内蔵ドライブは両面倍密度倍トラックタイプのディスクの読み書き可能 .┃
┃ ┃ハードディスクドライブ(VE-H20は20MB、VE-H40は40MB内蔵) .┃
┃ ┃3.5インチフロッピーディスクドライブ(両面高密度、オプション) .┃
┃ ┃8インチフロッピーディスクドライブ(両面倍密度、オプション) ┃
┃ ┃CD-ROMドライブ(オプション) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 価格(税別) ┃298,000円、423,000円、513,000円(STD、H20、H40) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
/ ̄ ̄ ̄\
/ / \ \ PC-98ドゥと、値段は同じでスピードは全然速いわけだお。
/ (●) (●) \
| (__人__) | でも、PC-286VEとも同じ値段で、見た目もあんまり変わらないお。
\ ` ⌒´ /
/ \
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \ PC-286XやVSも既にそうなっていたが、グラフィック機能に関する、
.| ( ●)(<) |
| (__人__) │ PC-9801VX以降の機種が装備してきた細かい改良点を
.| `⌒ ´ |
| | 取り込んでいる。もっとも、EGCの互換機能はまだだがな。
ヽ /
ヽ / さて、こういった中でこの6月、日本のパソコン界、
〉-r:::┬〈、
/Λ 〉.:〈 7//\ 中でもNECを大きく揺さぶる発表が行われるだろ。
////V::::::V/////\
./////∧::://///////}
/////// ∨/////////{
____
/_ノ ヽ、\
/(●) (● ).\ FMタウンズの安さもなかなかのもんだったけど、
/ (__人__) u \
n|i 7 ` ⌒´ n| それよりもすごい話なんかお?
l^l | | l ,/) U l^l.| | /)
', U ! レ' / ー‐ | U レ'//)
{ 〈 ノ /
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
__
/ _ノ\
/. (●), 少なくともNECの受けたショックで言えば、
| (__ノ、)
. | | はるかに大きかっただろうな。おそらく、
. ヽ |
ヽ ノ 社内は上を下への大騒ぎとなったはずだろ。
ヽ (
> ヘ
| |
| |
___
/ \
/ノ \ u. \ そりゃあいったいなんだお。
/ (●) (●) \
| (__人__) u. |
\ u.` ⌒´ /
ノ \
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ それは次回のお楽しみとさせてもらうだろ。
| ( ⌒)(⌒)
. | (__人__) ちょっともったいぶる形になって、申し訳ないがな。
| ` ⌒´ノ
. ,| }
/ ヽ }
く く ヽ ノ
\ `' く
ヽ、 |
. | |
____
/ \
/ ─ ─ \ この手口は久しぶりだお。
/ -=・=- -=・=- \
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ .____
| ( ⌒)(⌒)/⌒ ⌒\ それじゃ、次回までバイバイだお!
. | (__人__) .(●) ( ●)\
| ` ⌒ノ ⌒(__人__)⌒:::::\
. ヽ } . |r┬-| . |
.ゝ_,. ノ____`ー'´___./
-(___.)-(__)___.)─(___)─
やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
第26話
「ジェットが町にやってくる」 おわり
※パナコムMについて、当初「富士通からFMRのOEMを受けた」と記載していましたが、
1989年の時点では、OEMではなく富士通から開示を受けた情報に基づく互換機だったため、
説明を訂正しました。
(2014/5/19追記)
※PC-9801EX4の価格が誤っていたので修正しました。
スペック表に価格を追加しました。
(2015/4/25追記)
| 固定リンク
「ゲーム」カテゴリの記事
- 電ファミニコゲーマーの連載21回目、「残機」編が掲載されました(2022.11.30)
- 電ファミニコゲーマーの連載20回目、「スタートボタン」編が掲載されました(2022.10.12)
- 電ファミニコゲーマーの連載19回目、「カンスト」編が掲載されました(2022.08.02)
- 電ファミニコゲーマーの連載18回目、「『三省堂国語辞典』第八版」編が掲載されました(2022.03.28)
- 電ファミニコゲーマーの連載17回目、「ローディング」編が掲載されました(2021.12.27)
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- 電ファミニコゲーマーの連載22回目、「ホビーパソコン」編が掲載されました(2023.11.22)
- 電ファミニコゲーマーの連載21回目、「残機」編が掲載されました(2022.11.30)
- 電ファミニコゲーマーの連載9回目、「フラグ」編が掲載されました(2019.07.16)
- 「昭和40年男」にマイコンブームなどの記事3点が掲載されました(2019.03.11)
- 「やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史」ゲーム名索引(2018.12.20)
「レトロPC」カテゴリの記事
- 電ファミニコゲーマーの連載22回目、「ホビーパソコン」編が掲載されました(2023.11.22)
- 電ファミニコゲーマーの連載21回目、「残機」編が掲載されました(2022.11.30)
- 電ファミニコゲーマーの連載20回目、「スタートボタン」編が掲載されました(2022.10.12)
- 「ゲームラボ」に、「パックマン&ソックリゲーム大集合」が掲載されました(2021.06.22)
- 電ファミニコゲーマーの連載14回目、「バグ・グリッチ」編が掲載されました(2021.01.08)
「レトロゲーム」カテゴリの記事
- 電ファミニコゲーマーの連載22回目、「ホビーパソコン」編が掲載されました(2023.11.22)
- 電ファミニコゲーマーの連載21回目、「残機」編が掲載されました(2022.11.30)
- 電ファミニコゲーマーの連載20回目、「スタートボタン」編が掲載されました(2022.10.12)
- 電ファミニコゲーマーの連載19回目、「カンスト」編が掲載されました(2022.08.02)
- 電ファミニコゲーマーの連載18回目、「『三省堂国語辞典』第八版」編が掲載されました(2022.03.28)
コメント